劇評

歌舞伎:七月大歌舞伎(歌舞伎座) 心の揺らぎを見せる玉三郎
昼夜で玉三郎海老蔵による泉鏡花の2作品が上演されている。
  〜中略〜
夜が「天守物語」(戌井・玉三郎演出)。富姫(玉三郎)は白鷺城の天守に住む魔物。前半では富姫と妹分の亀姫(勘太郎)のやりとり、後半では主命により天守を検分にきた図書之助(海老蔵)と富姫の恋が主題となる。
玉三郎が前半で伝法な美しさを出し、後半で図書之助への心の揺らぎを見せる。海老蔵が涼しげな若侍ぶり。門之助の舌長姥、獅童の朱の盤坊が軽妙かつ不気味。吉弥の奧女中がいい。我当の桃六。
  〜後略〜
毎日新聞 2009年7月15日 東京夕刊

写真は『天守物語』より富姫(玉三郎)、図書之助(海老蔵)。