『桜姫』観劇記/五回目〜後編



◆五回目〜二十四日・昼の部 平場松列10番


という訳で後編です。
今日(土曜)は日中ゆっくり休んだのですが(夜は遅れてきた仕事を片付けておりました)未だ背中の痛みと腕の痛みが取れなくて、集中力が著しく欠如しております上に、一晩寝たら忘れましたーっていう感じなので(撲殺)、酷く薄い内容となるであろうことを、先に明記しておきます(汗)。



※しつこく今日の写真(苦笑)。昨日のエントリーにも書いた、ラウンジの特別メニュー。手前はバニラアイス。左上にウエハースじゃないや、えーと、クレープの皮を揚げたものみたいなの(ものを知らないので正式名称わかりません)があって、それに隠れてしまって全然わからないですけど、右上に白い塊が(笑)。これが求肥で、この中に抹茶味のムースが包まれていて、更に中に苺が入っておりました。黒い粒は小豆。抹茶の味が濃厚で美味しかったです。


『岩淵庵室の場』での朝比奈氏の女衒と残月・長浦との会話の解説は、今回やはり客席に拍手を求めたのですが、十九日のように全編に渡ってのものでなく、主に朝比奈氏の話すところのみ、という形になってました。リズムは十九日に比べると早かったです。で、変わらず、というか前回以上にと言った方が確実かな? 残月と長浦のノリは良くなってました(笑)。


『新清水の場』で引っ込んだ福助丈、舞台袖に入って台から降りるまで、やはりじーっと見てしまった私でした…。しかしあの場所、かなり気をつけないと大変な感じ。舞台上方の欄干(?)の足場の横組みが丁度組まれているところなので、腰をかなりかがめた姿勢でないと頭がその足場にぶつかりそうで…。ちょっと昨日は仕草が男っぽい感じがしましたが(笑)。*1


十九日に『山の宿場の場』での悪五郎の手の話を書きましたが。
昨日はやはり手甲ナシ。で、ちゃんと赤っ面に合わせた色の手袋をしていたようなのですが、あの時の顔がお面ということてもあってか、色がかなり白く感じて、益々訳がわからなくなった私でした(苦笑)。


『稲瀬川の場』に出てくる非人たちの中に、白塗りで隈を描いた人物が…。以前からいたとのことですが、私は全然気付いてなかったのでびっくり。それも結構姫に絡んでいたのに(汗)。
一度、源吾に追い払われて逃げる直前だったかな、姫に近付いて左袖(上手側)を引っ張って、それにびっくりして振り返った姫を正面から見て
「かわいい…!」
って言っていたのだけれど。
「そりゃかわいいだろうさー!! てか私の気持ちを代弁してくれてありがとうっ!
とか思いました…<馬鹿。*2


高僧然としていた清玄が『稲瀬川の場』でキレる訳ですが…。後の『岩淵庵室の場』と合わせて、間近で観たせいもあるかも知れませんが、昨日が一番鬼気迫ってましたね。
特に『庵室の場』の…どの場面かは忘れてしまったんですけど(涙)、清玄が完全に狂って視線があらぬ方向を彷徨っている時、確かに焦点が合っていない“狂人の目”だったんですけどかなり長い間、目が私の方向向いてて…本気で怖かったです、あれは。背筋が寒くなりましたもん、本当に。


でー、えーとここで、コメントなどでご指摘戴いたことについて修正やら何やらを纏めて。。
まず、初日に雨が降った場面、これって私の中ではラストっていうのが無いです(汗)。現在の通りの前編の最後と、庵室を追い出される残月と長浦が去る時という二回の記憶のみ…。実際どうでしたっけか?
それから『新清水の場』で最初に姫一人が出てきて、読経を受ける前に手が開いて香箱を見せる、というのは初日からあったとのこと(汗)。
最後に、『権助住家の場』で“対面”と“鯛麺”をかけた台詞に続いて権助が口にする食べ物は“鯛すき”ではなく“掻鯛”とのことでした。
ご指摘ありがとうございました。*3


しかしまぁ、昨日は二度目のかぶりつきということもあってか、前回より余裕があったと言うか…とにかく福助丈堪能に終始していたという感じが(滝汗)。
権助住家の場』では、お姫が籠で帰ってきて、出てくるより前からずーーーーーーーーーーっと籠見っぱなしだし(汗)(というのは実は毎回やっていたりするんだけど)。
何かっつーと
「かわいい…。」
とまたもや頭の中身を口からダダ漏れさせていた私ですが、流石にかぶりつきでただダダ漏れさせるのもまずいという頭だけはちゃんと働いておりまして、先日歌舞伎座で買ったお扇子を活用。口元に当て続けておりました。それでもイタイことに変わりは何もないんですが…(涙)。まったくまぁ、何を観てるんだか、がっくりです。
でも何度かの立ち廻りでは本当に刀が頭に打ち下ろされるんじゃないか、ってくらいの臨場感なども十二分に味わわせて戴きました。“流石コクーン”という感じ。


でー、何と言っても個人的な昨日の“事件”は、やはり『山の宿町の場』(昨日『権助住家の場』と書いたのは完全に誤りでしたね(汗))で赤ん坊を預かったことですね。
正直言って、場所的に「来るかな?」という覚悟と言うか、期待をしておりました、ハイ(汗)。だからですかねぇ…渡されたのは(苦笑)。
「お預かりしますー♪」
って顔をしていたんじゃないかと(失笑)。
で、渡された赤ん坊。昨日も書いた通り、ホント思ったより重くてびっくりしました。
恐らく赤ん坊本体もさることながら、赤ん坊が入っていた竹籠が重かったんだと思うんですけど。思いっ切り落としたりしますもんね、いい加減な造りでは壊れてしまうでしょうし。とても太い竹で編まれていました。歌舞伎の小道具、あんなに間近に、というか手にして見られる、ということはまず有り得ないでしょうから(しかも本番中に)本当に貴重な体験でした。中に薄い蒲団様のものが敷いてあったのですが、それの端が破れていたのも芸が細かいと言うか…公演中に擦り切れちゃった、ってもんじゃないんだろうな、アレ(笑)。
そしてこの時…開演前にお隣の方とお話をした、というのが役に立った(?)のです。
だってさぁ…覚悟なり期待なりしていても、いざ預かったら一人でどうしてりゃいいのよ? って思いません?(苦笑) でもお隣がどこの誰とも知らない人でも、予めお話をしていれば自然と場が和むと言うか、一人じゃない、って思えますし。実際、昨日私が赤ん坊を預かったら、お隣の方はびっくりしてらっしゃいましたけど、一緒に中覗き込んで「結構リアルですよねぇ。」とか「意外とコレ重いですー(汗)。」とか何とか色々お話出来て、より楽しかったんですよ。私は両手で籠を下から抱える形になっていたので、赤ん坊を触ったりとかは全然出来なかったんですけど、お隣の方が「袖の中とかどうなってるのかしら…?」ってめくられたりして(笑)。*4
まぁでも本当に、貴重な体験でした。あれは忘れられないですね、本当に。*5


そしてやはり昨日も十一日と比べると変わってました、『権助住家の場』の最後。
お姫が泣き始めるのがより早くなり、それに伴い、正気を失っていくのが早くなっていて。
酔い潰れて寝ている権助を起こす時、うっすら笑いが浮かんでいたのだけれど、これはもう完全に“気が触れた笑い”。ぞっとすると同時に、例えようもない悲しみが伝わってきた気がして。
権助が起き上がってから、一気に一突き、という形になってしまっていたのは正直残念ですが(抱き寄せられた時のタメの一瞬が好きでした。例の“一瞬の永遠”と感じたところです)、壮絶さはより増しているし。
最後、姫が壇上にいる間、前では“お家再興めでたしめでたし”が繰り広げられていて、まさに目の前では芝のぶちゃんが“天晴れじゃ”状態(笑)だったんですが。
すみません、観ちゃあいませんでした…。てか扇子で丁度姫が隠れちゃって
「見えないっ!」
とまで思ってました(汗)。
完全に暗転しても、視線は姫がいた場所にそのまま釘付け。
そして再び明るくなって、前にいた役者さんたちは既にカーテンコール状態なのだけれど、実は福助さんは“それでもまだ姫”ということに気付いて、これがまた怖かったです。
花道から権助が出てきて、その後、壇から降りてくるところでようやく福助さんの芝居が終わった、という感じ。
でもそれでも悲痛な表情のままだったりするのですが…。それを見て、危うく(?)泣きそうになった私でした。*6
カーテンコール3回目だったかな、とにかく最後に出てこられた時に、ようやくご自分に戻られていたようでした、昨日は。
でも私は今までで一番“取り込まれて”しまったんですけど。


と、“進化”し続けている『桜姫』。
いよいよあと12時間後には最後の幕が開きます。
最後に咲く“桜”は如何に。

*1:しかしこんなところまで観られてるなんて、観ている自分が言うのも何だけれど、可愛そうというか何と言うか…。

*2:あと、一番最初に(?)姫に近付いて何かを姫に見せてお手玉みたいなことするのもいて。これは毎回気付いていたのだけれど、十一日に観た時に、その“お手玉”がカエルだということに気付いて妙に笑えました。で、あれ一匹、姫にあげようとするんだよね。姫は当然怯えて退くのだけれど。あの方がプログラムの福助丈と串田さんの対談の中に出てくる“ジャグリング出来ます”って言った方なのかなー、とかも毎回思う。それから“何か”を引き摺って出てくる非人。犬か何かの死骸のようなんだけど、アレがかなりグロテスクで、十一日に初めてハッキリ観た時には本気で気持ち悪くなりました…。昨日は更に近くまで来たので余計に退いたけど(苦笑)。でも周りからも「気持ち悪い…。」という声がかなり出てました。

*3:しかし「八百善の仕出しが出ますよ。」と言われて寄り合いに行ってしまう権助ですが(ちなみにこの“やおぜん”というのはこの字でいいんかいな?と思い、検索してみましたら、ズバリこんなところが出ました。間違い無さそう)毎回この場面を観る度に「お姫より八百善の方がいいんかい…。」と思う私(笑)。まぁ、てめぇの女だからいつでも…という頭があるんだと思うんですが(苦笑)。

*4:ちゃんと小さな手が握り締められてました。

*5:しかし今になってよく考えてみると、あの赤ん坊、福助さんを始め様々な役者さんが触れられているはずなんですよね、場面場面で違う人形を使っている、とかいうことが無ければ。…触りたかった…(苦笑)。

*6:と言うか今となっては、あの時泣けなかった自分というのが悔しいというか不甲斐ないというか…。