『紫光会』
今日は国立劇場に、尾上流の舞踊会『紫光会』を拝見しに行って参りました。
昨夜遅くに朝一で用事が入るかも、という状況になり、今朝になってその通りになってしまい。最近かなり簡単に色々挫けてしまうので、正直どうしようかと思ったりもしたのですが、予想外に用事が早く片付いたので“お目当て”を逃すことは無いだろう…と1時間半の遅刻をして会場へ。
2階のほぼ中央の席だったのでとても観易く、皆さんの踊りと素敵な衣装を楽しみました。*1
そして予定時間を30分近くまわっていたようですが、いよいよ“お目当て”に。幕もそれまでの緞帳から定式幕に変わりました。
特別出演・福助丈の『かさね』。最初に情報のメールを戴いた時には、一目見て「うーん…。」と思ったのですが。きちんと読んだら、「これは!」と。
かさねを演られるのであれば今後も拝見する機会はあると思うのですが、今回は与右衛門ということで。
正直素踊りかしらー、なんて思っていたのですが。それは有り得ないでしょう…と今なら自分に突っ込みが入れられますよ…。しっかり拵えありの与右衛門でした。
筵を被って花道からご登場。今まで数度しか立役のお姿は拝見していませんが*2この登場の仕方というのもあってか、今回はかなり緊張していた気がします、私が(失笑)。これも飽くまで今思うと、なんですけど。
本舞台に移ってから、しゃがむところで何となく戸惑いのようなものを感じたのは、やはり私がそう思って(感じて)いたからだけなんでしょうか? 花道の出の際に既に生のおみ足に、以前ちょっと書いた“おんながたのひみつ”と感じる、観てはいけないものを観てしまったという感覚がしていましたので…。
しかしいつもの通りですが、単純に最後には「素敵〜。」という感想になるという展開で。
花道で鎌を銜えて見得を切ったお姿なんてそれはもうー。今日のために今月の昼の部を蹴らざるを得ない状況になった訳ですが、これを拝見出来たのだから、もうこれは全然後悔ナシ。
立ち廻り*3や跳んだりといった時の体の使い方、見得の表情などは「兄弟ねー。」とつくづく思うほど橋之助丈に似ている、と改めて思ったり。*4
未だ実際の公演はおろか、実は映像すらロクに拝見していない『かさね』なのですが、色々な方の演られた写真は結構記憶にありまして、それらと比べますと与右衛門がかさねを殺すことになってしまったドロドロした因果というものが、今回の舞台ではより強く感じられた気がします。ほんの一瞬が切り取られた写真と生の舞台を比較するのもおかしいかと思いますが…。
あっという間の一幕が終わり、一旦ロビーに出てしばらくしてから、ものすごく体が緊張していたということに気付いて苦笑いするやら呆れるやら。
明らかに映像関係のお仕事だな、と思われる方をお見掛けしたし、今はどんな会でも記録として撮影というのはされていると思うのですが。
今日の模様が何らかの形で再見出来ると嬉しいですねー。というのは我儘でしょうか。