プロフェッショナル



仕事場に持って行く自前の文房具は極力派手、というか個性的なものにしている私。
会社からきちんと支給があるのであればまだしも、中途半端にあるような無いような、といった会社に長いこと勤めていた折、ごく普通の文房具を私物として持って行くと、気付いたら上司が会社の備品と思い込んで使っていて
「それは私のなんですが…。」
と言えずにそのまま、ということが何度かあったので。*1
今の会社は一応備品として一通りの筆記具等の買い置きなどもあるのを見たのだけれど、使い勝手の問題やら、やっぱりこれは私物なんだろうなぁ、というものが実際多々あるので、*2まぁ自前で持って行ってペンケースから出して使ってれば問題は無いでしょう、というか。
で、とにかく“どう考えても会社で金出して買ったようなもんじゃない”というものを使ってたり。勿論そんなものばかりではないけれども。世の中そんなにキテレツなものばかり無いのでね(笑)。
で〜、シャーペンとボールペンがお揃い、同じシリーズ。ポストペットのモモ(笑)。ノック部分にモモのフィギュアが付いてる、一番最初に売り出されたシリーズの、だったと思う。
しかしこれが結構軸の太さが私の手に馴染む感じで、使い易いんですわ。
だが。シャーペンは壊れることなく順調にノックすれば芯を出してくれるのだけれど、このところボールペンはインクが出なくなってきていて。カートリッジには十分インクが入ってるのだけれど、いくらぐりぐり試し書きをしても書けない。インクが固まってるんだなー、と暖めてみたりもしたけどダメ。
で、しばらくの間、ボールペンが使えないままでいたのだけど(実のところ別に不便は無かった。色物のペンが無い方がずっと困るくらいで(苦笑))、今日の帰りにダメ元で会社のある最寄駅の近くの大きな文房具屋へ。
カートリッジ自体に社名も入っていないし、何しろキャラクター商品なのでまず無理だろうと思いながらレジへ行き
「すみません、これに合う替え芯はありますか?」
とドピンクのボールペン(笑)を差し出したところ。
年の頃なら30ちょっと前、といった感じの女性の店員さん、やはり
「んー、メーカー品で無いのでちょっと…。」
と言いつつサクサクと分解して中のカートリッジを確認、そしてやおら後ろの棚から何やら大きなファイルを取り出してきて。
開くとそれは各社のボールペンのカートリッジの現品が貼られた見本帳。
しかしこっからが凄かった。
迷うことなくとあるページを開き、そこに貼られたいくつかのカートリッジのうちの一つと、私が持ってきたボールペンから抜き出したカートリッジを見比べて。
これがレジ向こうから見た限りとは言え、そりゃもうどんぴしゃ、同じもんでしょ、っていう。
で、更にあっという間に後ろに並んだ沢山の小さな引き出しの中から、そのカートリッジをさっと取り出して封を切ってセッティング&動作確認。
「こちらでよろしいと思いますが。」
と、試し書き用の紙と一緒に渡されるまで、私がレジに立ってから多分2分もかからなかったんじゃないかと思う。
完璧な結果。ノックで出入りする動きも問題なく、試し書きをして芯が引っ込んでしまう、なんてことも無い。
品代63円。
「ありがとうございました。」
と言う顔には全く嫌味など無い自信が溢れてた。
これぞプロの仕事。
いいもん見せてもらった、とはまさにこのことでしょう。


同時に、自分には果たして“プロフェッショナル”と呼ばれるような何かが現在過去未来、あるだろうか、とも思った出来事だったり。

*1:またこの“上司”ってのは、オヤジとかじゃなくて女性。現場の上司は私より5歳上だったのだけど、モロヤンキーという外見と内面。悪い人では無かったけど、やっぱ怖かった(汗)。もの凄い圧迫感のある職場で。ほとんどの人がこの雰囲気に耐えられずに辞めるというくらい。かくいう私は我慢してたら頭壊れて、ある日から会社に行くこと自体が怖くなって、ほぼ流れ退社、というかもう逃げるが如く辞めたという…。

*2:でも基本的にこのところ私ともう1人男性の社員さんしかいないという状況で作業をしているのだけれど、どう見ても女性の使うもの、といったデザインのシャーペンなどがペン立てに挿してあったりして。女性のバイトさんも週に何回か来ているので、多分その方の私物か、若しくは過去にいらした方が置いていったのか、という感じ。