八月納涼歌舞伎初日・第三部(初回)



◆三階11列28番



時刻は既に十七日となり、丁度一週間が経過してしまった訳ですが。
そしてワタクシの素晴らしいおつむはあらかた記憶を失っております(失笑)。メモも今回は残していないし…<すぐupするつもりでいたので(汗)。
なので舞台のことよりその他個人的なことが多いと思いますが、書き留めておきます。
写真は恒例、初日の幕。


会社を17:01分に出て、仕事中に携帯の充電が残りわずかになって非常用充電器で充電していたものの、その電池も尽きてしまったので直近のコンビニに寄り電池を購入、充電器へセットして携帯へ接続した状態で自宅へ電話をかけながら駅へ猛進。地下鉄駅に入ったらすぐに電車が来たので飛び乗り、東銀座着。
階段上って、恒例の外観写真などを撮ろうと携帯を出したら時刻は17:15。…あんだけのことやってきてこの時間というのにしばし唖然。*1
お江戸勤務になったら幕見通いつめて身上潰すのが先か、体壊すのが先か、という感じ(汗)。*2


やはり初日ということもあってか、二部の終わりが遅く、それから待たされること30分近く。開場は17:45。15分で客入れって無謀だよ!*3
ともあれさくっと入り、筋書を買って入口付近でうらうら(苦笑)。ここで一度、串田監督をお見かけする。
で、ワタクシはいつもの通り三階席なので、一緒に入場したasariさんachaccoさんと別れ慌てて三階まで〜。


何せ前述の通り開場が遅くなったせいか、開演も少々押したようですが、ほぼ定刻通り幕が開く。
以下は同じく前述通り記憶が曖昧になってしまっているのであまり意味も無い気がしますが、一応未見の方もまだまだいらっしゃるでしょうということで“続きを読む”に致します。


まずざっくり全体的な感想を言ってしまうと、面白かったけれど、三階席はちょっと寂しいぞ(苦笑)、という感じですね。
役者さんが客席に降りることが意外と多かったので、三階席はかなり置いてかれてる感が(汗)。
特に私はB席でしたんでねぇ、降りている間の台詞が全くと言っていいほど聞こえなかったので。何がなにやら、というのがかなりありました。劇中、法界坊が「三階席の貧乏人ー!」とかいう台詞を吐いて構って下さいましたけど(笑)。
これから観に行こうか、と思っていらっしゃる方は是非一階席を(苦笑)。*4
まぁでも宙乗りの時に三階席に来られますからねぇ…一番割に合わないのは二階席ってことになるのかな?(笑)


幕が開くとそこは中村座
羅漢席が舞台の左右にしつらえてあって、のっぺらぼうな人々(笑)がいらっしゃいます。
初演の中村座での様子を知らないので何とも言えないのですが、というかわからないので言いようが無いし意味も無いんですけど(苦笑)。舞台の幅を狭めて中村座サイズにする、という意図もあったのかなと。
しかしこののっぺらぼうの中に実は本当の役者さんが混ざっているとは思いもよらず。出番は開演してから一時間以上経った頃だったですね。法界坊に殴られてわかるという。
その間、ずっと人形に混じって身じろぎ一つせずにいらっしゃったのですから凄いことです。場内騒然(笑)。


何せ時間が無かったので、ほとんど舞台と同時進行で筋書を見つつ、といった状態で。
それで勘三郎丈より先に勘太郎丈が出てくるのはわかっていたのですが、垣根の裏からの勘太郎丈の第一声がもうお父様そっくり!
「あれ、法界坊もう出てくるんだっけ?」
って混乱しました(苦笑)。
出てきたらなんか凄まじいアホだし(爆)。*5このはじけっぷりは若さと相まって、下手するとお父様より凄いという勢い。
「××でどう…」
とかなんとかいう台詞に対して、当日明け方、世界陸上のハードルで為末が銅メダルを取った話題を早速盛り込み、縁台をハードルに見立てて
「為末! 為末!」
と言いながら飛び越えまくるという姿には感動すらしましたよ、本当に。てかあのネタ、いつ盛り込むことにしたのか、実際試しにやってみたんでしょうがそれは一体いつなのか、という疑問が…(苦笑)。*6
そして出てきた法界坊は、中村座の写真などで見た姿より一段と汚さパワーアップ(笑)。頭はゴワゴワでハリネズミのようだし、顔や手足も薄汚れていて。


でー、要助@福助丈のご登場後は…。えぇすみません、また腕が疲れるまでウォッチャー(死)。
お陰で他の方の“美味しいところ”をことごとく見逃しまくりました…。
かもたまたま要助を見ていない時に限って、要助に美味しいことがあったりして(泣)。生来の間の悪さ全開でありました。
“五月のデジャヴ?”な場面(笑)も本当にちょっとしか見られなかったし。提灯蹴った後のポーズも視界の隅でした(泣)。*7
大喜利まで全体的に無茶苦茶な展開と言ってもいいような芝居ですが、この要助と野分姫は、おっとりと“歌舞伎の世界”な人物である訳で。まぁ野分姫も要助に許婚というのを知らない、などと言われると懐剣出して自害する、ってすぐやるのでアレですけど(笑)。
ともあれ要助、正直
福助さん立役だしねぇ〜。」
とあんまり期待していなかったんですが、良かったですねぇ…。って、やっぱり結局褒めちゃうんか、って感じもしますが(汗)。*8
要助がお家再興のため、という姿勢を崩さないので、芝居にしっかり一本筋が通ってるという感じですよね。
まぁ、あの、お組と二人で座敷で云々やってるところで、法界坊と勘十郎が入れ替わり立ち代りやってきて掛け軸の中身すり替えてってるのに気付かない、ってのは、思わず
「お前らバカップルか!」
って思いましたが(爆)。「だんまりじゃあるめぇしよぅ〜。」って(苦笑)。ま、座敷でも薄暗いという設定なんでしょうな(汗)。


しかしまぁ、ホント初日からあれで大丈夫かしら、っていうくらいの飛ばしようでしたね、皆様。
橋之助丈は法界坊と言うより勘三郎丈にいじられまくってるし(笑)。
「“いい男”って言ったら振り向きやがったな、この野郎!」
とか
「元気有り余って子供三人も作りやがって!」
というようなことまで…(苦笑)<ネタが大人過ぎです(爆)。私の席の斜め前には小学生らしきお子様がいらっしゃいましたので…(苦笑)。
あと凄かったのはやはり正八役の亀蔵丈。やっぱり要助延々見ていたので気付くのがとても遅れたのですが(汗)、顔真っ赤にして、人間の限界に挑戦、とばかりの頬の膨らませよう。アニメの『ポパイ』を思い出したのは私だけですか?(苦笑)<それは年齢のせいでは(死)。楽までに頭の血管何本か切れちゃうんじゃないかと本気で心配になったり(汗)。お組に言い寄る時の動きも、人類の動きとは思えず(爆)。


で、一番私が楽しめたのは実は大喜利だったりしまして…。
勿論その前も十二分に面白かったんですが、最後、あのように言ってみれば“普通の歌舞伎”となるとは思ってなかったので(汗)。
山台が出て、三味線や鼓、謡が入ると物凄く落ち着く自分が最近不思議でならないんですけど(苦笑)。
ただ、私の周りは何となく大喜利でああいう形になったら「えぇ〜。」という雰囲気が漂っていた感じを受けたのですが…。
途中、勘三郎丈の帯がずるずるになってしまったのを私は本気で“野分姫から法界坊に移っている途中だからあれで普通”、と思っていたのもイタ過ぎですけど(泣)。*9とんでもない出来事だったにも関わらず、それを“普通”と思わせるというのは、いくら勘違いしていたと言えども凄いことだな、と今になって思う次第。
最後、筋書に“一軸から抜け出した鯉を抱えた甚三郎が駆けつける”というのを見て
「…鯉よく掴んでるよな、はっしー。」
と思ったのも馬鹿過ぎな私ですが…。しかも実際はバカでっかい掛け軸を抱えて出てきたのだけど、
「それ開いて鯉出したりするのか〜?」
とか思ったりもしてたり(滝汗)<ホント馬鹿。


で、たまたま観劇の数日前に、部屋に散らばる雑誌類を斜め読みしておりまして。
その中の『東京人』(2002年7月号)に、勘九郎丈(当時)と丸谷才一氏の対談があり。歌舞伎におけるカーテンコールについての話があったのですが。
まさにこの日、この話を実感。
芝居の良い、悪いとは全く別次元で、所謂“歌舞伎らしい幕切れ”であれば、カーテンコールの必要性は薄くなるということを。
以下、上記雑誌より丸谷氏の発言引用。

歌舞伎のよくある幕切れは、敵味方どっちが勝ったのかわからないところで双方が大きく見得をして幕になるじゃない。それだとカーテンコールはいらないんだ。すでにカーテンコールが入っているからね。

確かに、あのように台にまで上がられて見得を切っているところで幕、となると、気持ち的に
「あぁ終わった。」
という気になって落ち着いてしまうんですよね。
逆に、先月の『十二夜』の時などは、幕が閉まる前から思わず立ち上がりたくなるような雰囲気になってましたし。
ただ、幕が引かれてからしばらくは、通常通り(?)の余韻に浸って普通に拍手をしていた私ですが、ずっと拍手をしているうちにカーテンコールモード(笑)になっていましたが。
串田監督や、浴衣に着替えてお寛ぎになられていた亀蔵丈も出られたカーテンコールは、やはり暖かいものでありました。
てーか、立派な立役姿の福助さんが、しっかりいつもの“女形モード”で周りに気配りしつつ客席に手を振る姿に腰が砕けて、本当にしゃがみ込む寸前まで行った私の腐れ具合がイタ過ぎて心底泣けたひと時でもありました… ○| ̄|_


《ある意味余談》
筋書ですが。
最近歌舞伎を観始めた、という方には今回のものはオススメではないかと。
“写真で振り返る納涼歌舞伎”と題して、1990年から去年まで、各演目一枚ずつ写真が載っております。
勘太郎丈伝説の『供奴』が載っていたのになんだか感激したり、94年の左團次丈の『毛抜』を見て悶絶したり。*10
私が納涼を初めて観たのは一昨年からなのだけど、
「いきなりぶっ通しで全部かよ!」
と改めて感心したり呆れたり(苦笑)。*11
しかしこれって、後半になって舞台写真入りになったら無くなっちゃったりするのかしら?
あと納涼の筋書って役者さんのインタビュー無しだったっけ? という疑問もあったり。*12これは舞台写真の有無に関わらず、変わらないとは思うのだけれど。*13

*1:“駅へ猛進”などと書きましたが、走ったりということは一切しなくてこの時刻だったのでびっくりした次第。

*2:本格的にお江戸勤務になった日にゃあ、幕見はおろか休日の観劇すら出来なくなるような激務なんですが。

*3:でも時刻更新されたhttp://www.kabuki-za.co.jp/info/kougyou/0508/8kg_1.htmlを見ると、一部と二部の間は更に厳しいことになってる…。

*4:もっともチケ松の戻りは出るとしたらほとんどが一等・二等なんでそこらへんのことはクリアかなと。でもどこかのブログで拝見したのですが、一階でも後ろの方だと既に訳わからん状態になってしまっているとか…。

*5:先月の安藤英竹と張るよ、アレ(笑)。舞台写真は出るのかな?(爆)

*6:そして楽日まで持つネタなのか、というのもあり…。逆に初日はまだ銅メダル獲得というニュースが浸透していなかったのか、そういう点での盛り上がり方ではなかったような気が。私自身もたまたま当日、母親が「為末どうしたかしら?」とTBSをチェックしていなかったら知らなかったと思うし。まぁでもあの動きだけで十分感嘆に値することなんで大丈夫かな?

*7:楽は絶対見逃すまい!(笑)

*8:そして舞台写真もそんなに買うつもり無かったのだけれど…。まぁ写真にもよりますけど、買い捲る予感(泣)。

*9:「それにしちゃあ後見の小山三さんの目が怖過ぎ。」とは思っていたのですが…。

*10:この頃から既に左團次丈が好きで、歌舞伎観に行きたい、って思っていたのねぇ。行きたいけど敷居が高くて行けないわ、って諦めたのすごくよく覚えてるんで。あぁホントに悔しいわ。

*11:その前から“ぶっ通しで一日”というのはやってましたが。

*12:今回簡単な文章と略歴だけなんだよね。まるで関西の番付のようだわ、というのは誤った印象かしら?

*13:そーしてこれは本当に余談。二度目の幕間、二階ロビーを通ったら、串田監督がサインを求められている姿を目撃。更にそれを通り過ぎると何やら大声での話が耳に入り。てかなんかオーラ出てる、って感じで。声の出所に目を向けると、そこにはキシン先生が…(汗)。更に終演後、正面出口にて、監督が2ショットの写真撮影を求められているところを目撃。当然と言えば当然なんだけれど、よく監督を目撃したなぁ、と(笑)。