幕見・『島の千歳』『関三奴』



一昨日ちょこっと前実況して放置になっていた話。


きちんと中に入って観るのはまだなんですが、仕事もいい時間に終わったので、このところの慌しい中、ちらちらと覗き見したブロガーさん方の「福助さん綺麗」感想にも惹かれまして(笑)、幕見に行ってきました。
実は幕見、今回が二度目。
何せ自宅から歌舞伎座まで遠いので、「ちょっと観に行こうか。」という行動は出来ませんから…。確実に観られるという状況で出向かないと、もしダメな場合の潰しが利きませんしね。*1


結局発売までに並んだ人は15人くらいだったのかな? 後ろには日本人女性かと思いきや、実はお一人は英語圏の方だったという二人組や*2金髪碧眼の男性二人組(多分。もっといらしたのかも?)などなど。
まぁ夜の8:30にあそこに来るなんていうのは、前述の方のように観光の流れで、という方以外はある程度一癖も二癖もある人なんじゃないかという気がしますが(笑)。*3


レトロ
レトロ posted from フォト蔵



幕見によく行かれる方にはお馴染みでしょうし、映画館ではまだ当日券だとこんな感じの切符でまだまだ“現役”なんでしょうかね?
でも私は映画も全然観ないし幕見も前述の通り二度目なので、この切符の感じからして何やら愛しいほどの感情が(苦笑)。
で、トコトコと階段を上がり*4切符もぎってもらって中へ。
…ガラガラやんけ…。
前述のように、この時間まで幕見、というのはよっぽどだと思ったんですけどね。『先代萩』終わって出てきた人が本当に数名だったので。…『先代萩』観てた人が少なかった、ってことでしょコレ。確かに仕事始まって間もない、しかも週の真ん中水曜日ですからねぇ、少なくても当然ですが。
でも指定席の方は逆に意外なほど空席が無く。それこそ『先代萩』終わってから出てきた方も少なかったようですし。最後の舞踊って蹴られちゃうことが多くて、結構毎回スカスカという印象があるので、あれはまたあれでびっくりしてみたり。


前置き長すぎ。閑話休題

『島の千歳』

花道使うのかどうかよくわからなかったので、上手側一列目に座ってみたんですが。
幕が開いたらセリが下りていたので単純に嬉しかったです(笑)。出てくる瞬間すら見逃すまいと双眼鏡セット(失笑)。
謡がしばらく続いて、ようやくセリ上がり…
「あぁ噂は本当だったね、福助さん…(涙)。」
きれーい(笑)。後はもうただひたすら見蕩れておりました。
舞台中央からもほとんど動くことない踊りは、どの席からでもよく観えるね、とか思ったり。*5
あと金冠の白拍子姿の福助さんが好きなんだなぁ、自分、とか。
ただただ理屈も何も無く、謡もちゃんと聴こうと思っていたことなどすっかり忘れてじっと目で追い続けた時間でした。*6
幕切れが次の転換との関係もあってのことだと思うのですが、暗転で終わる、というのも綺麗で良かったですね。

『関三奴』

さてお次は『島の千歳』とは打って変わって花道使いまくりです(笑)。しばらく七三で踊り続けるお二人。
「赤っ面は何故いつも橋之助丈…。」
とか思ったり(笑)。*7
“奴の踊り”というとどうしても思い出すのが『供奴』ですが。とは言っても一度しか観てないですけどね…(汗)。*8きびきびした“奴さん”らしい動きが楽しい。こちらも理屈は要りません、少なくとも私には(笑)。
最後の方で肩脱ぎになって、それぞれの家の紋の首抜きの衣装になったのがまた華やかで。
多分、祇園守の首抜きを観たのは初めてだと思うので、それだけで妙に嬉しかったり(苦笑)。*9
そして最後、お互いの毛槍を投げ合っていたところでちょっとハプニング。
染ちゃんが槍を落としました。
でも多分あれは橋之助丈の投げ方が悪かったんだと思う…。距離がどう見ても足りませんでしたよ(汗)。
ともあれ、おめでたい襲名興行の最後の演目、気持ち良く打ち出されるにはもってこいのものではないでしょうか?


二演目合わせても三十分ほど。
でも仕事帰りに立ち寄って良い気分で家路に着く、というには十分な時間、贅沢なひとときでした。


幕見席までの階段もささやかに華やか
幕見席までの階段もささやかに華やか posted from フォト蔵



入場時は席のことを考えてひたすら上がって行ったので余裕がありませんでしたが、帰りはゆっくりあちこち写真を撮ってきました。とは言っても“絵になるところ”って結構あるもんだと思ったんですが、ブログにupするには…という感じで(汗)。
でもこんな綺麗なところもあるもんで。残念ながら山城屋さんの提灯は入っていませんけれどね。


…やっぱり感想より前置きの方が全然長かった…(失笑)。
さて、明日(既に日付変わって今日)は浅草二部に行ってきます。終わったらまた幕見に行くつもりでいますが、さてさてどうなりますことやら。

*1:ちなみに一度目は一昨年の納涼楽日一部の『蜘蛛の拍子舞』。一度通しで観に行った日に『仇ゆめ』にいたく感動したものの、客席の反応の余りの酷さに(「ここで笑うか?」と、終いには感動も吹き飛んでしまうほどの怒りがこみ上げた)どうしてももう一度観たい、とチケ松に毎日電話をかけ続け、ギリ楽日の一等の戻りを確保。そして早めに行けたので『蜘蛛の拍子舞』で幕見初体験。

*2:“荷物を置いていただけのおばさま”が話し掛けていたのを暇だったので何気に聞いていたら、お友達が観光でやって来てもうすぐ国に帰るので、取り敢えず幕見というシステムで歌舞伎を観よう、と来たとのこと。日本人の方も歌舞伎は未体験と言っていました。本当に全然役者さんのことや観ようとしている幕が踊りだとかも知らなかったようで。ただ、染五郎丈は『阿修羅城』などでちょっと知っていた模様。あと橋之助丈も何となくわかったらしい。福助丈も「最近テレビ出てましたよねー。」って…(笑)。で、ポスターの写真を指差しながら英語で説明していたのだけれど、“man”でなく“guy”という言葉を使っていたのがなんだか面白かったですね。でも説明されていたおばさまと、話を聞いていたお二人の様子とか、お互い楽し気で素敵な光景でした。こんな光景こそ“幕見ならでは”なんですよね、きっと。

*3:ぶっちゃけ三人のうちの誰かの…以下自主規制<え?(自分を基準に考えてはいけません)

*4:普通に三階席まで上がるより楽だと思った私は変? 単に空いていたからでしょうか…。

*5:但し前方の前のめりな方にヒットしてしまうと、延々観えないという悲劇が生ずる危険性も大かと。

*6:しかし途中で何度かふっと歌右衛門丈にそっくり、と思うような表情を感じたのは気のせいだったんでしょうか。いや別にいいとか悪いとかいう話じゃないんですけど。生で拝見していてこんなこと思ったのは初めてだったので。歌右衛門丈のお若い頃の写真を見て「そっくり。」と思ったことは何度かあるんですけど。

*7:“いつも”ってことも無いですが、なんかそんな印象があって。

*8:一昨年の『新緑特別公演』の勘太郎くんのだけ、だよなぁ、確か。

*9:首抜きって好きなんですよねぇ。『お祭り』とかいなせな感じのもので使われることが多いからかな。そして祇園守の首抜きを初めて観たのであろう、というのは、成駒屋で立役、というのが実質橋之助丈のみに近いというところからではないかと思われ。