劇評

歌舞伎:吉例顔見世大歌舞伎(歌舞伎座) クドキを聞かせた菊五郎
昼の最初が「伽羅先代萩」。菊五郎の政岡は激しさより柔らかみと優しさを感じさせる作りで、「御殿」の千松のなきがらを前にしてのクドキが聞かせる。「竹の間」は仁左衛門の八汐、三津五郎の沖の井とのよき取り合わせで、舞台に緊迫感が生まれた。八汐にいやみさがあり、才気走った沖の井が口跡よく追い詰めていくくだりがおもしろい。仁木は團十郎富十郎の男之助との「床下」が立派。「対決」「刃傷」は仁左衛門の勝元、段四郎の外記とそろった。福助の頼兼、田之助の栄御前。
  〜後略〜
毎日新聞 2006年11月13日 東京夕刊

写真は『伽羅先代萩』「御殿」より政岡(菊五郎)、八汐(仁左衛門