劇評

歌舞伎:八月納涼大歌舞伎(歌舞伎座) 勘三郎の3役で際立った仁木
3部制公演で、1、2部が新作、3部が古典と変化ある演目立てだ。
3部の「裏表先代萩」の通しに見ごたえがある。勘三郎が政岡、仁木、小助の3役で、ことに際立つのは仁木。刃傷にすごみがあり、小助の小悪党ぶりとも好対照だ。政岡は千松の遺骸(いがい)を前に母に戻るくだりに情が出た。三津五郎が倉橋弥十郎と勝元で世話と時代のさばき役を演じわけたのはさすがだ。扇雀の八汐、弥十郎の道益、市蔵の外記、福助のお竹がいい。
  〜後略〜
毎日新聞 2007年8月23日 東京夕刊

写真は『裏表先代萩』より仁木(勘三郎)と外記(市蔵)。