2008年7月まとめ



最早月末に当月のまとめをすることは諦めました…。


12日 歌舞伎座(七月大歌舞伎)
     夜の部 『夜叉ヶ池』 『高野聖』:3階10列下手側
26日 歌舞伎座(七月大歌舞伎)
     昼の部 義経千本桜『鳥居前』 『吉野山』 『四の切』:3階1列中央


《今月のいちばん》
吉野山


ついでにまたちょこっと感想を書いておこうかと。

鳥居前

今回、またも歌舞伎初心者様1名ご案内、だった訳ですが。
“初体験”にふさわしい幕だったと思います。
春猿丈の静の美しさ、段治郎丈の義経の気品、海老蔵丈の忠信の勇ましさ。いかにも“歌舞伎らしい”という感じ。

吉野山

おなじみの清元との掛け合いでなく、竹本のみの『吉野山』。
あちこちのblog等でぼちぼち拝見してしましたが、まず幕開きの背景の書き割りが開いた時の予想以上の素晴らしさに思わず声を上げてしまいました。吉野川は水車回ってるし。
大体この演目の静の衣装は白地の常盤衣なのだけど、今回の玉三郎丈の静は赤地に金と銀の格子柄の縫い取りの裲襠。変わった柄だなー、と思っていたのだけど、後でチラシの写真で中に着ている着物のものと同じ柄だったことに気付いて。中に着られていたものは変わらず、裲襠のみ違った、ということですね。
実際に舞台を拝見していた時には全く感じなかったのでどうでもいいことではあるのだけど、終わってからお茶をしに行って筋書の写真を拝見していて「(上を脱いだ忠信の)赤と(静の)赤の衣装ってちょっと平坦だね。」という感想も出て。でも踊り自体が珍しいものだったし、これもアリかと。
あと、忠信の衣装、裾に大きな源氏車がまるで首抜きのように入っていたのが印象的。静の衣装も色々役者さんによって工夫されていて異なる柄だったりするけど*1忠信も微妙に違うんですよね皆さん。4年前の浅草でも、勘太郎くんは左右の胸元に金の源氏車が一つずつあるのみ、亀治郎丈は胸元は銀の縫い取りで裾の方は金で胸元より少し大きめの散らし。地色も良く見ると茄子紺だったり紫だったり…。*2今回は胸元と袖に銀の小さい源氏車もあり。ちなみにやはり終わった後に筋書を見ていたら平成13年の海老蔵丈の忠信の写真があって、この時は裾に金の散らしで上を脱いだ時には本当に首抜きの源氏車で、しかもその首抜きが艶のある白い糸で織られた布で象られていて「全然印象変わるねー。」と。立役さんの衣装も面白いなと改めて思った次第。って静同様、今回のチラシの衣装とも違うじゃないか忠信(笑)。*3バリエーションてどのくらいになるんでしょうね。
“女雛男雛”が無かったのが残念だったりもしたのだけど*4戦物語のところの連舞がとても素敵だったので大満足、です。*5

四の切

何と言うかこう「“正しい『四の切』”ってのはどーいうのなのかねぇ…。」と考えてしまいました。
取り敢えず最近とみに“マイブーム海老蔵”なワタクシですので大満足だったんですが。前回拝見した時よりはいいんじゃないか、という気はしたのですけど。国立の歌昇丈の『四の切』がとても評判が良かったようなので、拝見したかったなぁ、と思ったり。
観劇後、どちらかで拝見したのですが、確かに最後の吹き替えの忠信が長過ぎというのも感じたりと。
前回驚嘆して楽しみにしていた床から二重に直接上がる跳躍も無く残念だったりとか。
宙乗りの引っ込みの桜吹雪も前回より控え目だったなぁ、とか…。まぁこれは内容に直接関係ある訳でないので、かなりどうでもいいことなんですけどね。むしろ前回はどちらかと言うと勢いに任せて“暴れてた”という印象が強かった引っ込みが、今回は本当に嬉しいのねー、という感じがしたので良かったし。
また何年か後に拝見してみたいです、海老蔵丈の“澤瀉屋型の”『四の切』。
それまでに私はDVDでおさらいをしておきましょう…。



ちなみに。

グレー地*6の上にあるのが一昨年11月の時の桜吹雪。左側*7のが今回のもの。
今回の方が小さいんじゃないか、と思ってたんですが、比べてみたら全く同じでした。


すっかり忘れてました〜! 今回の狐忠信の衣装、帯の結び目から下の下がりがすごく短いんじゃないかと思ったんですが実際のところどうだったんでしょう? 今まで拝見した狐忠信のはもっと長くて、動くと揺れてしっかり尻尾のような動きをしていましたけど、今回はほとんど動く余裕が無かったような…。写真確認してみようにも写ってないんですよね。


関連エントリー
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*1:一昨年の3月の福助丈の衣装は確か慶ちゃんだったかどなたかの写真を基に作られたものだったし。

*2:“胸元に金の源氏車”が通常の柄、なんでしょうかね? 福助丈のお相手の幸四郎丈、芝翫丈のお相手の菊五郎丈、共にこの柄だったみたいなので。

*3:チラシは胸元と袖に銀の源氏車、全体に大きめの金の源氏車。

*4:あの写真は必ず出るので漏れなく買う私。マニアです(笑)。

*5:特に玉さんの踊りが女形のそれとは違った勇ましさで。戦物語だから、なのでしょうが、びしっとした動きが凛々しくてなんだかちょっとドキッとしたり。

*6:テレカでございます。演目には全く関係ないものなんですが…海老蔵丈の写真が使われてますけど。子供歌舞伎の『白浪五人男』のものです。しかし何度見てもこの写真笑っちゃうな…<微笑ましくて。

*7:なんかwebに堂々と出しちゃヤバいもんに載ってるように見えるのは気のせいではありません(笑)。下手なところに仕舞うより、こうしておいた方がいいだろうなと思ったのでこのように保存することにしました。