劇評

歌舞伎:秀山祭九月大歌舞伎(歌舞伎座) 奥行きもって盛綱描いた吉右衛門
吉右衛門が昼夜で大役3役を演じ、成果をあげている。
  〜中略〜
夜の序幕が「盛綱陣屋」。吉右衛門が武将としてのあり方と情の間で揺れる盛綱を奥行きをもって描き出した。芝翫(しかん)の微妙(みみょう)に格調と愛情が感じられ、2人のやりとりに、弟の高綱とおいの小四郎(宜生)への思いが浮かびあがる。玉三郎福助、左団次、歌六と、周囲もそろう見応えある一幕。
次が「鳥羽絵」。富十郎の升六が軽妙で、鷹之資(たかのすけ)のねずみがしっかりしている。
最後が「河内山」。吉右衛門が自在なセリフで河内山のしたたかさと悪党ぶりを表現し、松江侯の染五郎が短気な殿様をうまく見せた。芝雀の浪路、錦之助の数馬、左団次の小左衛門、由次郎の大膳。26日まで。【小玉祥子
毎日新聞 2008年9月18日 東京夕刊

写真は『盛綱陣屋』より盛綱(吉右衛門)、小四郎(宜生)、早瀬(玉三郎)、微妙(芝翫)。*1

*1:下手側からのショットなので、福助丈の篝火が吉右衛門丈の陰になってしまっていて見えません…(涙)。