“桜”の前の、薔薇と椿。



拝見して参りました、『題名のない音楽会21』公開録画。
クラシックの素養は無いに等しい私ですが*1いやはや凄いものを観た、というのが率直な感想。まぁこの感想というのは、クラシックに対するもの、では無いのですが、実は(汗)。


HPと届いた当選葉書に書かれていたこと以外、全く詳細わからぬままのこのこ出掛けて行きました(苦笑)。
指定された時間に会場に着くと、すんごい人。しかもなんだか下手すると歌舞伎座より平均年齢よっぽど高いんじゃないか、というくらいお年を召した方がほとんど、と言うか若い人がいない…。
なんか今回から入場方式が変わったようで、私の後ろに並んでいたおば様二人組はしきりと不満をぶちまけまくり、ただ待ってるだけでも辟易している上に、うるささ加わり更に倍の不快感。
去年の福助トークライブご一緒させて戴いた方と、ここによく遊びに来て下さるaさん(仮名(笑))がいらっしゃるということで、無事会えるかというドキドキ感も相まって。電話やメールで連絡を取りつつ、入場の列が動いてようやく中に入れたのは18:30を過ぎていたのではないでしょうか。開演18:45だっていうのに(汗)。
整理番号が果てしなく1300番に近いという、どう考えても後ろから数えた方が早いだろう、という順番で中に入り、入口にいた係員の方何人かのうち、奥が一番空いていたのでててーっと行って、葉書を出すと「御一人様ですか?」と聞かれたので「はいー。」と答えたら、横に避けていたっぽい数枚のチケットの中から一枚を渡されました。
ぴあの発券システムを使っていて、値段は書いていないけれど席番などがきちんと印刷されたチケット。確認すると
「ラッキー、一階席だわー♪」
その後、無事aさんともお会い出来、去年来のお友達とも会えて、いざ席へ。
「…まだ前…まだ前…はいーーーーーー?」
なんですかこの会館、最前列がカ列ってのはどういう訳?
アタクシの席、コ列の一桁台
超棚ボタ、端っことは言え五列目でした…(正確には下手側端のブロックはク列から始まっていたので、そこでは実質三列目)。
歌舞伎座で言うなら、ドブのスッポンよりやや後方、といったところでしょうか。舞台の間口が広いので中央までの距離があって、もっと実際は遠いものでしたけど。


話は前後しますが。
入場時に危うく戴き損ねるところだったパンフレット*2を、ロビーで会ったaさんとさっと眺めまして。
まずゲスト二名が、一度に出るのではなく二部に分かれて別々に出られるのだ、ということに気付く(苦笑)。
そして福助丈が出られるのは二部だったのだけれど、お題が“歌舞伎 meets クラシック”というのも初めて知る。
更に曲目の下に色々と説明が書いてあったのだけれど…。
「『カルメン』の、踊り:中村福助、ってえー、踊り!?」
「その後の『椿姫』は“出演”てなってるけど…。」
「朗読か何かかな…??」
謎(笑)は深まるばかり。


入場が遅れたこともあってか、開始は10分押しくらいだったかな?
まずは一部、ラッセル・ワトソン氏の回の収録。
全く歌の教育を受けること無く歌っていて、偶然からあれよあれよという間にスターへの階段を上りつめ、今や押しも押されぬ実力派テノール、という方とのこと。
背は高くスリムな体型、甘いマスク。今はトレーニングを受けているとのことだけれど、基礎教育を受けていないのに何故こんなに素晴らしい声が出るの?
「…最近、天は二物も三物も与えてる人を量産してるよなぁ…。」
と改めて思いました(笑)。


で、休憩。
近くのトイレに行ったら滅茶苦茶混んでいたので、二階に上がってみたら案の定ガラガラ(笑)。
用意万端(笑)で戻ってきたら、ステージ上手に緋毛氈が敷かれた山台が置かれていました。
それを見て一気に落ち着きつつも、ドキドキ感更に倍の私(笑)。
着席後、ややあっていよいよ二部の開幕。


一部と同じく、女性司会者がまず登場、パンフレットに書かれた福助丈の略歴を読み上げ、もう一人の司会、羽田健太郎氏が出てきて前振り話(歌舞伎についての薀蓄)の後、いよいよ一曲目『カルメン』演奏開始。
最初は普通にオーケストラのみでの演奏で、途中から浄瑠璃が絡むというものだったのですが…。
浄瑠璃が入ったその時、舞台下手から福助丈登場。
しっかり女形の拵えです。
真紅に裾廻しや袖口に金を豪勢にあしらった着物。*3帯は黒と金の縞。裾よけは黒。髪には着物と同じ真紅の大きな薔薇が二輪。
まさに和製カルメン
浄瑠璃で語られるカルメンの詩に合わせて踊る福助丈。普段、歌舞伎で拝見する踊りの時の雰囲気とはまた異なった気合いのようなものを感じました。
従来の着物より裾引きが長く、裾が広く開いていたように見えたのも気のせいではなかったのでしょう、恐らく。ゴージャスなドレスのイメージだったのではないでしょうか。
赤と金の間から見える黒の裾よけがエロティックで、でも時折きりりと引き締まる表情を拝見しているうちに、なんだか“お嬢吉三”を見ている気がしてきた私でした(汗)。多分、赤と黒、というところと、髪型のせいだと思うのですが…。*4
ただ、振りが
「…道成寺?」
と思われる箇所がいくつかあり…。
ともあれ、半ば腰砕け(笑)のうちに一曲目終了。
ご挨拶の後、司会者とのお話が。
髪に挿された薔薇はそれは見事なものだったのだけれど、なんと生花とのことで。
着物も勿論特注と。
「リハーサルの時には衣装を全く着けずに踊ったんです、本番まで内緒にしておきたかったので。」
という福助丈(笑)。
その後、福助丈は退場。
次の『将門』より「ほのぼのと」は、まず最初にオリジナル(笑)の浄瑠璃での演奏の後、オーケストラに編曲されたものが演奏されました。浄瑠璃の語りは、オーケストラ版ではソプラノ歌手の方が出ていらして歌い上げ。見事にクラシック音楽となっていたのに感服。確かこのパートの前に、三味線の方(文字兵衛丈)から楽器の話、語りの方(兼太夫丈…だったと思います(汗))が歌い方についてのお話がありました。
そして再び福助丈登場。拵えはすっかり落とし、亜麻色*5の着物とそれより薄い同系色の袴。
「顔を落として参りました。おわかりにならない方もいらっしゃるかも知れませんので。改めまして福助でございます。」
との言葉がお茶目(笑)。てかもう私は着物に袴、っていうんで萌えモード全開に…<殴打。
で、この後。謎の『椿姫』の“出演”。
やはりこれは福助丈の朗読でした。正確には『椿姫』の台詞を歌舞伎調に書き換えたもの(とは言ってもそう大仰なものではありませんでしたが)をオーケストラの演奏をバックに語る、という感じ。
オリジナルの『椿姫』は全くわかりませんので何とも、なのですが、いやこれも素晴らしいものでした。ただため息、のワタクシ(汗)。
そして早いものでもう最後に…。今回の企画の振付を担当された藤間勘十郎丈が登場、どのようなイメージで振付をされたか、というお話があり。
ここでやはり最初の『カルメン』の道成寺っぽい、と感じたことが間違いでなかったことが判明。『道成寺』と『藤娘』を合わせたものにしたとのことでした。
「最初に持ってこられた時には、これ合うのかなー、と思ったんですけどね、ぴったりだったのでびっくりしました。」
とは福助丈のお言葉。
最後の『くるみ割り人形』の“こんぺい糖の踊り”は、『二人椀久』を基にしたとのことで、勘十郎丈と福助丈の連れ舞い。
てか福助丈の素踊りーっっ!! “普通の素踊り”とは違う、と言ってしまえばそれまでですが、いやはやこんなものまで観られるとは思わず…。
全てが終わって出演者の紹介をされていた際、それぞれの方を引き立てていた福助丈。
引っ込む時にはお約束(?)の両手でバイバイ…。
…えーい、書いちまえー!!
福助さん、可愛過ぎ。


収録終わってから、元々貧血気味の体調でしたが、しばしふらついて立ち上がる力が出ませんでした(汗)。
思いもよらない企画のインパクトと、福助丈ご自身の魅力にヤられまして(苦笑)。
しかしあのふらつき、どちらかと言うと貧血一気に通り越して、興奮して血の巡り良くなり過ぎたため(爆)、だったのではないかと今になって思う次第です。


花尽くし。
『桜姫』を前に、見事に咲いた薔薇と椿に魅了され。
コクーンではどんな桜を魅せて下さるのでしょう。


肝心のオンエアは五月二十九日とのこと。
収録時間は転換等含めて50分くらいだったと思うのですが。どこまで削られてしまうのかなぁ。勿体無いですね、全部流して欲しいものです。


興奮している証拠なのでしょうね、一向に眠くないのですけど…。
毎度の滅茶苦茶長文にも関わらず、内容は本当に薄くて。一瞬一瞬の印象が物凄く強くて、全体を通して思い出してみようとすると、繋がらないという有様。
福助丈のお言葉を始め、間違ってることてんこ盛りかと思いますので、どうぞ御指摘よろしくお願い致します。


ちなみに全くくだらないことですが。
テレビクルーの中に海老蔵丈にそっくりの方がいらっしゃって、妙にツボった、ということも付け加えておきます(笑)。

*1:一応幼稚園の頃からヤマハ音楽教室に通い、更に通っていた幼稚園では合奏教育(?)が盛んでお偉い先生を呼んで指導して戴いていたという環境だったのに。しかも小学校高学年の担任の先生が合奏大好きで、『剣の舞』から『越天楽』まで色々な曲を演奏したという過去があるのに…。でもって中坊の部活は吹奏楽部でしたのに、何故クラシックがわからんのかねぇ(呆)。

*2:aさんに会って教えてもらわなかったら貰えないところでした(汗)。

*3:金糸で恐らく紋と思われる刺繍も入っていた。

*4:しかしあの髪型、ちょっと普段見ないような形だった気がします。

*5:色の表現、つくづく難しいですね…。こちらのHPの“日本の伝統色名”を参考にしたのですが。