劇評


勘三郎襲名披露 五月大歌舞伎(歌舞伎座) 新三、小気味よく
勘三郎襲名興行最終月。昼の部の襲名演目は最後の「髪結新三」。勘三郎当たり役の新三が小気味よく、「永代橋」での忠七(三津五郎)相手の嫌みなすごみがきき、傘を持った姿が決まる。富十郎の弥太五郎源七に、分別が邪魔をする親分の感情の揺れが見える。三津五郎の家主長兵衛に、したたかさと愛きょうがあり、忠七の二枚目ぶりとはがらりと変わる見事な二役。弥太五郎には売り出しの野心、家主にはやり込められた風情、勘三郎が「新三内」での応答にメリハリを出す。染五郎の勝奴、菊之助のお熊、市蔵の家主女房が好演。
  〜後略〜

写真は『髪結新三』富吉町新三内の場より、染五郎(勝奴)・勘三郎(新三)・三津五郎(家主長兵衛)