『桜姫』初日感想追記



なんつーかもう今更な気がしないでも無いですが(汗)。
いつも通り大したこと書きませんがネタバレ含む、なので久々に“続きを読む”を使ってみようかと。
でもこれってブログモードで、このエントリーだけ出しても有効なのかな?
えー、もしこのエントリーだけ出して、この下に“続きを読む”と出てなくて、ネタバレ見たくない!ってことでしたら、こちらにでも避難して下さい(汗)。


やはり初日ということで、段取りちょっと悪かったかなー、というのが気になりつつの。
でも確か終わった後呑みに行って「舞台装置を動かすのにガタゴトいうのはナニかなと。」と言った覚えがあるんですが、それはあの舞台なら逆にアリかと思ってます、今は。覚束無さ、と言うか、あのある種“荒い”感じが今回の舞台を“見世物小屋に見立てた”という意図に合っていると(と言うかあれも演出のうちかな、やはり)。
そしてこれに通じているものだと思うのですが。今までコクーン歌舞伎は前回の『夏祭』しか観たことないし、ましてや小劇場やら、およそ“演劇”というものはほとんど縁の無い私なので、こういう感想を持つのもおかしな話だとも思いますけれど、何と言うか今までのコクーン歌舞伎の中で一番“アングラっぽい”という印象が強かったですね。権助、桜姫、清玄の幕代わりのタペストリーとでも言うべきイラストと言い、無機質な素の舞台がほぼむき出しの空間と言い。


始まってからは…。
正直、心配していた通りと言っては大変失礼ですが、福助丈の声がやはり辛かった。
あとこれも非常に失礼なのですが…ウエイトもう少し落として戴けたら…と(汗)。多少ふっくらされていた方がかわいらしく見えるものなんだな、というのは、今日『研辰』のDVDを観て思ったんですけど(平成十三年時のおよしは今観るとちょっと細過ぎて“小悪魔的”(笑)雰囲気が少ない気が。先月の舞台写真見ると、断然今回の方がかわいい、と思う)。


しかしまぁ
「ヤラレタ。」
と思った部分も勿論多々ありまして(笑)。
一番「うわ。」と思ったのは“桜谷草庵の場”でしょうかねぇ、やはり。
剃髪の決意固く念仏を唱えているところに悪五郎の文を持った権助が現れて、この目の前の男が“あの男”なのだと気付いた時の驚き。…ってここはまぁ普通な感じでしたが(汗)。
この後、権助を庵の中に入れて二人きりになった時、裲襠をすっと脱ぐ訳ですが…それまでは、権助が“あの男”と分かってもまだ驚いただけで“姫”の顔をしていたのだけれど、この脱いだ瞬間だけ(本当に脱いだ時だけ、と私には見えたのですが)一瞬“女”の顔になったのですよ。それはまぁ勿論、この後の濡れ場では…でもそれでもこの裲襠を脱いだ瞬間の顔ほど“女”になってはいなかった気がしましたね。行為やら、その後ほとんど春画じゃないか、っていうような強烈な場面が続きましたけど(絵に関しては役者さん云々と言うには関係ないことですが)それでもそれは飽くまでも“姫”の顔。
その後も続いた長い芝居でもやはり全編基本に流れているのは“姫”。でも本当にあの一瞬だけ“ナマの女”になっていた気がします。


後はやはり…最後でしょうか。正確には“終わった後”も。
正直最後も段取り悪いな、ということは感じたんですけどね(子供が懐に入らなくてぎうぎうしてたとか(笑)(しかもその後、落ちこそしなかったもののかなりギリギリの状態になってたしね(汗))、髪を解くのに手間取っていたとか…。
私自身が当日メールで書いた“ラスト3分のエクスタシー”ってヤツですよ。
咲き誇る桜の中で乱れ狂う姫。目の前では家が無事再興されてめでたしめでたし、という場面が繰り広げられているというのに、姫自身も“お家再興”という願いが達せられたはずなのに、でも本当のところ姫は少しも幸せではないし、もっと言っちゃうと“家が再興されて、でもだから何だと言うの”という訳で…。愛しい男を手にかけ、本来の筋であれば子供も殺してしまうのだけれど、それが出来ない桜姫。
因果に縛られて行き場が無くなった心は…、といったところでしょうか。
それで、んー、まぁ…この乱れ狂う姫の様が、苦しさを超えてもっと違うところ、要するにある種の“エクスタシー”にまでイッちゃったんじゃないか、というように観えたという次第で。
でもって…福助丈自身もイッちゃってた気がするんですよね…(汗)。カーテンコール3回だったかな、その間、笑顔がちょっとは見えていた気はするのだけれど、それより何より目が据わってた、という印象がありましてね。これはもう違っていたらとんでもない話になっちゃうんですけど(汗)。初日の緊張感から脱せられないままだった、ということだったのかも知れませんしね。


で、これまた個人的な突拍子も無い…またも“例えにならない例え”が出てきてしまったり(以下はもう『桜姫』とは直接関係無い話になるんで、読み飛ばしても差し支え全くありません)。
X Japan・hideさんのソロ『HIDE YOUR FACE』の中に『HONEY BLADE』という曲がありまして。曲の内容も相当ドロドロなんですが(好きだった女性が結婚するというのに後悔した男が自殺するという話。しかもこれ実は父親が娘に想っていたこと、だったという)これのLIVEパフォーマンスが強烈だったんですよ。
『HIDE OUR PSYCHOMMUNITY〜hideの部屋へようこそ』と銘打たれたTOURの中でだったと思うんですが…セット自体が今回の『桜姫』と多少似たところがあって。“hideの部屋へようこそ”ってことで彼の部屋に招待された、というコンセプトであったため、ステージが“hideの部屋”。舞台中央から後ろに階段が伸びていて、二階へと続いている、という形になっていて。で、その二階は左右にバルコニー状に広がっている形。手すりがあって。そしてこの曲の時にはその二階に純白のウエディングドレスを着た花嫁が出てきて乱れ狂うという演出でした。更に言っちゃうと、このTOURの時にはhideさんが絡んでかなり露骨な性描写と言うか…書いたらこの言葉から検索はおろか変なトラバが山のように付きかねないので書きませんけど、もう“そのものズバリ”な行為をモロにやっちゃいました、という状態だったんですね。
で…hideさんが亡くなってから後に行われたLIVEの際にこの曲を演った時(注:亡くなった後のLIVEというのは、演奏は全てBANDメンバーが生で流し、ボーカルのみをテープで流すという形を取りました)やはりこの花嫁が出てきたのですが…。
“彼女の手すら取る者も無く、ただひたすら孤独に乱れ狂う花婿のいない花嫁”という姿が何とも言い難い虚無感を生み出していました。
hideさんという、いるべき人がいなくなってしまった、という孤独感を再認識したというのもありましたが、この曲のパフォーマンスに関しては、とにかく“花嫁の孤独”というものを強く感じた訳で。
…でまぁ、今回の『桜姫』の最後が、このパフォーマンスとすごくダブってしまった、という次第。
いるはずの愛しい人を失った哀しみ。という姿が、とても似ているなと。


でー。とにかく。
取り敢えずですねー、明日(既に今日になってますが)は二度目のトークイベントな訳です。
前回に引き続き、またも福助丈のみ、とのこと…。あまり無理はなさって欲しくないな、と思いながらも、やはり楽しみであり。
そろそろもうこのとめども無い話もお開きにしようかと。
ヲタの戯れ言、キリがありませんから(失笑)。