『桜姫』観劇記/四回目



◆四回目〜十九日・夜の部 平場C列14番


という訳でようやく一昨日の観劇記upです…。
今回は帰りの電車の中で、手帳に思いつくまま書き出してきました(笑)。
それでも
「もっと他に気付いたことがあったよ〜!」
とキリキリしてました(失笑)。
でもまぁこれが私の限界、ってことで(涙)。
しかも激しく勘違いも多々、と思われ。
それでもやはり未見の方にはネタバレありに変わりは無いので、今回も“続きを読む”使いますが、やはりブログモードで個別にエントリー出すと使えないようで…。ちょっと利用方法検索してみたんですが、解決出来ないみたいです。*1
えーと…では行きます。*2



※今日の写真は帰りに東急東横線渋谷駅の改札手前の階段横の壁にあるのを見付けた『桜姫』の看板。看板と言うのも大仰な気がしますが、ポスターでは無いですね、紙ではなかったようですので。こういうものも権利問題ありで掲載するのはまずいかと思ったのですが…人目に触れるために掲示されているものなのでいいかな、と。
しかし十一日の帰りも同じルートを使ったんだけど気付かなかった…。人の密度が全く違ったせいかと思いますが。日曜だけあってか21:00頃だっていうのに人全然いないの。階段使っている人皆無。撮り放題。でもこんな写真しか…。*3


で、えー、今までは見出し使って書いていたのですが、どうにも設定が悪いわ読み辛いわなので、*4それぞれ改行でざくっと。
順不同で行きます。最初の方は時系列通りですが。


中に入ったのは開演10分前くらいだったかな? 舞台に何気なく目をやると、既に非人たちがうろついている。
「…今までこんなに早くから出てたっけ?」
と思いながらも席に着いて荷物を整理して、饅頭を食す(笑)。
多分これに関しては、今までで一番早く客席に入ったためではないかという気がしていますが。比較的さくっと入った初日もこんなもんだったかな、という気もしますし。
開演直前に一旦全員引っ込みましたからね。その時の印象しか残っていないのではないかと。


と、更にここでおやと思うことが。
「舞台袖の筵の高さが低くなってる?」
鳴り物さんや謡の人たちの入っている、福助丈が先日のトークイベントで曰くの“オケピット”、通常言うところの黒御簾内がよく見えるようになってる気が。下手側の太鼓なんて半分くらい見えてるんですけどー。
…ってこの件については、帰りにメールのやり取りをして、どうも私の気のせいだった、ということに落ち着いたのですが…。
十日の席が下手側ギリギリで、席への出入りがこの筵の真横だった私、太鼓が見えるほど低かったっていう記憶が全く無いんですよね…。かえって真横だった分、高く感じたということですか。
しかもこの日は、この筵が低くなっている、という先入観と席の位置も相まってか
「音の抜けがすごく良くなったなー。」
なんて思ってました(失笑)。*5
最後、芝居終わって締めの太鼓にお客さんから拍手が起きたのもこの日が初めてだったので、ますます違ったんだな、と思ったり(汗)。


そしていよいよ開演。
で、ここでまた驚く。
「全体的に物凄く前に出てきてないですか〜!」
十一日のかぶりつきの時でさえ、なんでこんなに役者が遠いの、という気がしていた舞台の印象と全く違う。*6
これもまた気のせいか…。


福助丈の声は、立ち上がりや途中での声の割れなどがまだありましたが、十一日に比べると大分良くなっていた感じで少し安心。
あと、ちょっと痩せられたかな…という気も。一週間では“痩せた”と言うより“やつれた”と言うべきかも知れませんが(汗)。こうなるとやはりお体大丈夫なのかしら、という心配が出てきますね。我儘ですな…。


『稲瀬川の場』 前回の観劇記で、非人に落とされた姫の美しさと母性について色々書きましたが。
姫の美しさについては、私の考えが間違ってるということにupした後に気付きました(失笑)。“堕ちるほどに光り輝く”って当たり前じゃないかと。だって内面的なものは変わってなくて、周りが変わってる(悪くなってる)だけですもの。暗いところに輝く光、光源の明るさが変わらなければ、周りが暗くなればなるほど輝きは増して見える、ということですよね。
あと、母性については、この日はあんまり感じられませんでした…。と言うか、子供を返しに来た長浦の台詞にもある通り、子供がいれば余計に施しが受けられる、というような感じ。逆に胸に抱いた子供にすがっているかのような印象がありました。もっと言うと、母性よりこれからの生活に対する恐怖の方が勝っていた、という感じですかね。話としてはこの方が正しい、という気がしますが。十七歳のお姫様がいきなり非人になっちゃうんだものねぇ。
で、この場で悪五郎に子供を奪われた桜姫が下手側から客席後ろへ抜けていく訳ですが、この時が至福でしたねぇ…。近くて一番観易い、まさに目の前で軽く見得を切って退場。真横を通られた一瞬の後、確かに桜の香りが漂いましたし。


今回は前述の通り、音がいい、という先入観(?)があったためか、様々な場面での音楽や鳴り物などが印象に残っています。
『桜谷草庵の場』の濡れ場の時の謡はより艶っぽく、『岩淵庵室の場』での姫の身づくろいをしている時*7の謡は哀れみが増して…。
あと、『権助住家の場』の権助の述懐時の静かな太鼓の音。雪太鼓のように静かに響く音が、話の重さとこれからの悲劇に向かっての恐ろしさを強調していることに気付いたり。


『岩淵庵室の場』での長浦が以前賜った振袖を残月が着せる場面は、下心アリアリの様子が見えて面白いんですが、先日の着付けは一発で姫様お気に召したのね、という(笑)。十一日だったか、前に観た時には着せられた後、自分でちょっと直してたんですよね。*8
あと、清玄に切り付けられた時の海老反りの形が変わっていた気がするんですけど。前は客席に向かって真っ直ぐと言うか、顔が正面を向いた形だったと思うんですが。この日は横向きだったので、あれ?、と。
それからこの場に流れる読経は以前から気付いていましたが(苦笑)、不気味さをより強調しているというのを非常に強く感じました。
更に、女衒が姫を連れてくるのに何か着るものを貸してくれ、と相談する際に、朝比奈氏が出てきて解説で端折る(?)んですが、この日はこの時に客席に『WE WILL ROCK YOU』調のリズムの拍手を求めて、それに乗せて語ってました。ただこれはちょっと失敗だった気がします(汗)。この日のお客さんのノリはかなり良い方だったと思うのですが(何故ここで笑う?などということもなく、とてもいい雰囲気の客席でした)この時は流石に(?)ちょっと引き気味。更に朝比奈氏の解説が生声だったので、拍手にかき消されてほとんど聞き取れない状態になってしまったので。でもこの時の残月と長浦の動きはリズムに乗ってて面白かったです〜。
あとは寝込んでいる清玄の着付けがブワブワなのが毎回気になっていたのだけれど、よく考えてみたらあれって権助との早替わりのために二重に着込んでいるのかなー、と。まぁ病んで寝ている人間がびしっとした格好してるっていうのも変だけど、それにしたって妙にぶくぶくしてるなぁ、って…。ついでに権助のさらしの巻き方が毎回甘いのが気になって仕方が無い、ってのもアリ…。橋之助丈細いから、ってのもあるんだろうけど、浮き過ぎ(汗)。


またも先日のエントリーに対して、になりますが。コメントも戴いていますが、清玄と白菊丸の心中の解説のくだりの際に使われている絵について。
入水した絵に描かれている足…。三枚綴りの最初に出る清玄と白菊丸の絡みの絵、よく見たら白菊丸の上半身は陰がついてるんですけど、足にはしっかりすね毛が描いてあったんですよ〜(笑)。まぁそれでも色白という印象があったりしますので、あの絵ってまだちょっと違和感があったりするんですけど、何となく納得、というか何と言うか(苦笑)。


絵と言えば、緞帳代わりに使われている桜姫と権助と清玄の幕。前半終わって休憩時に、清玄の絵が破戒僧の姿に掛け変わるのだけれど、あの時って清玄のバトンのみが降りてきて黒子さんが掛け替えるのよね。
あれ見る度に、
「ああ、清玄てばやっぱり孤独…姫と権助のバトンは一つに纏められているのに。」
と思う私(笑)。


初日は『岩淵庵室の場』で残月と長浦が追い出される時にも雨降ったよねー。でもあの日限りだったみたいで。


十、十一日は下手寄りの前方の席だったので、上手側の袖内が丸見え。
『新清水の場』の最初の引っ込みで、姫(つーか私的にはあそこに入ったら福助さん、なんだけど(汗))が台から降りる姿が結構好きだったりします…(汗)。あれだけの衣装だから当たり前なんだけど、飽くまでも“お姫様降り”なのだ(笑)。


あとすごい気になってるんですが。
同じく『新清水の場』、最初に桜姫一人が台に乗って出てくるけど、朝比奈氏の解説時に手を開いて香箱が入っていた、って見せるの、初日からありましたっけ? なんか初日は読経受けるまで手は開かなかった気が…。てかそれ以前の問題として、最初に姫一人出てきたっけか?というところまで疑問があったり(汗)。*9


『山の宿町の場』、捨て子となった桜姫の子供が出てきて客席をたらいまわしにされるけど(笑)、今回、籠から頭が出ていたんですがー。今までは籠にすっぽり入っていたのに。“時が経って成長した”ということを示していたんでしょうか? 実際、毎回見る度に思ってたんですよね…「一体この話ってどのくらいの期間の話なの?」と。単に勉強不足なんでしょうか(汗)。だっていつまでも姫の子供って赤ん坊なんだもの…。


十一日に、『山の宿町の場』の最初で悪五郎の手が白かったという話を書きましたが。それに対して他の日はちゃんとしていた、というコメントを戴きまして。で、この日チェック入れてみましたら、
「あれあれ、今日は手甲がありませんよー!」
でもちゃんと赤っ面に合わせた色の手袋をしていた模様。と言うか、なんかその後のお十の手も手袋だったように見えて…。白いことは間違いなかったんですけど、なんか素手にしては違和感がー。もう訳わからず(苦笑)。
でもこの日はお十、いや勘太郎くんに異変が。『岩淵庵室の場』で出てきたお十、声がヤられてるー!(汗) やはり悪五郎とお十、声の使い分けが響いているのか…。何にしても一つの芝居で二役って大変なのね、としみじみ思った次第。


声と言えば前述の通り、最初に比べて大分落ち着かれた福助丈ですが。
権助住家の場』で突っ返されてきた際の演技が更に変わってましたね。益々“お姫様らしく”なったと言うか。声の使い分けがほとんど無くなった感じ。もっと言うと“時代がかったまま”の風鈴お姫でした。
そしてそんな姿の福助丈に向かって
「…かわいい…かわいいよ…。」
と、気付いたら思ってることが口からダダ漏れ起こしていたワタクシ(死)。
いや、『稲瀬川の場』の時、既に呟いていた気がしないでもありません。
嗚呼、まさに清玄のようだ…(滝汗)。


話ちょっと変わりますが、先日のトークイベントの際、台詞に関しての話がありまして。
最初の残月と長浦の密会の場面での大黒だの弁天だのというくだりとか、権助が寄り合いから帰ってきて、お姫が子供との対面を…と言うと「今日は鯛麺じゃなくて鯛すきだったぞ。」とか言うところとか。*10
常識と言うか、特に面白いところでも無いと思うんですけど、なんかここらへんの場面になると思い出してにやりとしてしまう私って変(苦笑)。


で、やはり『権助住家の場』。
ここまで来ると
「ああもうすぐこの芝居も終わるんだ…。」
って結構悲しくなるんですが。
これも以前から変わっていないと思うのですが、今回、お姫が清玄の幽霊から話を聞く場面、以前に増して全体の明かりが落とされた気がして、お姫のみに当てられた光がより強く感じられました。
更に権助述懐の場での太鼓に気付いたので(苦笑)、展開がより重く感じられて。お姫の泣き出すのは、最初に比べるとかなり早い段階からになってますよね。前は権助が起き上がってからも泣くところまで行っていたかどうか…? 今回は、酔い潰れて寝ている権助を揺り起こす時点でもうぼろぼろ泣いていて。頬擦りもここで。*11
この“泣き”が早くなったことによって、更に姫の悲しみや狂気が深く強くなった気がします。
起き上がった権助に抱き寄せられた後、何と言うか…“一瞬の永遠”というような空気が流れて、その後は一気に刺して、倒れてからはメッタ刺し。
その後、子供を…あれは刺せなかったと私は思ってるんですけど。
そして大詰と言うのか、姫の狂いに入ると。
でも今まではなんか段に上がる時に、割とすっと上がっていった気がするんですけど、確かこの日、階段の途中で止まって客席向いてタメがあった気が…。すっと上がっていたというのが本当なのか、途中で止まった方が本当なのか、なんかもうわかんなくなってる私はダメですね(涙)。


そしてこれはもう何度も書いていることですが。
単に私の思い入れがそう見せているだけと思いながらも。
今回更に姫の狂気が深く感じた分、福助丈のはまり具合も半端でない、という気がしました。
カーテンコールは三回、最後は福助丈一人が出てきて手を振って、というもので、笑顔も少し垣間見えていましたけれど、やはり最後まで哀しげな姫の表情、という面持ちで。
現時点であと十公演を切りましたが、どうぞご無事におつとめ出来ますように…。*12


と、またもだらりだらりと書き起こしてみました。
ホントにもう“チラシの裏”状態で…。でもパソ本体に残しておいても現状だとぶち飛ぶ危険性大なんで、こうしてWebにupしておけば安心かな、というのがあって。まぁ、はてなのシステムがぶっ飛んだら終わり、ですけど(汗)。
とにかくザルな頭なので、自分の中に残しておく、ということが出来ませんので、こうして形にしておきたいんですわ。


で、今回の最後に。
プレトークショウにて福助丈が
「原作、売店で売ろうか?」
というようなお話をされていたんですよね。
で、私自身、それ結構期待してたんですけど(苦笑)<自力で買っとけ。
先日ブログを巡ってましたら、有難い情報を見付けました。

花の名の姫君 (秋田文庫)

花の名の姫君 (秋田文庫)

これが結構原作に近いらしいです。
木原敏江先生好きで、作品もかなり読んでいるけど(ここでも買った本として何冊か紹介した記憶が)この本自体、ちょっと前に出たものなのでチェックしてませんでした。しかもこれ画像出てないけど、表紙は木原先生の絵じゃないのよね。だから余計に買わなかったんだと思うんだけど。
で、今更ながら、この本をオーダーしてみました(苦笑)。
セブンアンドワイで在庫があったので、明後日(23日)には指定の店に届くとのこと。
まぁ、ここまで舞台観てると今更というのはありますけど…明後日なら間に合うな…。


ともあれ、私の観劇もあと二回。
文章だけでなく、しっかり脳裏に焼き付けられるようにコンディション整えなければ!<ってこんな時間に言う台詞じゃないな、全く(失笑)。

*1:ちなみに大きい写真載せたくて有料オプションに切り替えても、大見出し使わないから意味無いぜ!(怒)という問題は、先日改めて確認してみたところ解決しました(汗)。という訳で、先週土曜の写真から早速この方法で大きなサイズの写真をupしております。

*2:そして引き続きコメント戴いている方々、お返事ふっ飛ばしてしまってすみません。

*3:ホントは今日の写真はコクーン売店で今回初めて見た“桜吹雪饅頭”にしようと思ってたんですけど(笑)。二口サイズのお饅頭に塩漬けの桜が乗ったものが二つ入って400円だったかな? しかしこれを開演前と幕間に食べようと思って買って、中での写真撮影はうるさいらしいからってトイレの化粧直すスペースで撮った、ってのはどうよ(汗)。

*4:Firefoxで見てびっくりした…。cssの記述方法がまずいんだと思うのだが。修行致します。

*5:蛇足ですが十日は、前述の通り下手側の御簾横だったので笛の音がとても綺麗に聞こえたのが印象的でした。

*6:ホントに「なんてこんなに奥でやるかな…。」ってずーっと思ってました。特に『権助住家の場』の遠いことと言ったら。でも通常の歌舞伎座などでの舞台装置の組み方を思い出してみると、特に奥まっているという訳では決してないんですけどね。

*7:実は先日のトークイベントの際、松岡さんがこの場がすごくいい、という旨の発言をされて、初日の時に既に私もそう感じていたこともあって、この場は特に好きになったんですね。

*8:それはそれで可愛らしゅうございました…。

*9:そしてあの香箱、握っている間は畳まれているようで。手を開くとぽん、と四角く箱状に開く仕組みになっているみたい。そう感じる度に「マギー審司の耳ネタみたいだ…。」と思う自分が憎らしい(爆)。

*10:“鯛すき”だったかどうか、今ちょっと度忘れしてます、正直(汗)。思い出し次第直すかも。

*11:ちなみに以前は権助の胸元にしまわれていた“都鳥の一巻”を取るのにわざわざ首から提げていた紐を外していたのだけれど、この時には巻物のみさっと取ってました。細かいことだけど、横になってる男の首からわざわざ外すのはかなり面倒なんじゃないかなー、なんて思っていたし、実際結構手間取っているふうにも見えたので、あの形はすっきりしていいかなと。でも逆にあまりにあっさり取れてしまうので、それもまた「?」という気がしてみたり(苦笑)。で、起き上がった権助の髪、この日は元結残ってましたね…。十日のざんばらの方が不気味で良かったんだけど、これは偶発的なものなのかどうかよくわからないので何とも。

*12:と言うか、ああなると終わってからの方が問題な気がする…。