『桜姫』プレトークイベント



えーとまず、新しくカテゴリ作りました。
“カイコ”
通常でしたら“回顧”とか“懐古”という文字をあてるところなのですが、私の場合は古”とか古”という字を当てはめた方がいいようなことばかりなものなので、カタカナ表記で。
過去のことをエントリーする際に使用するカテゴリという位置付けですが、どのくらい時が経つとこのカテゴリに入るのか、明確な基準は設けてません。…二週間くらいからにするかなぁ…早過ぎるか?


で、昨夜の雪辱〜。
今更、5月14日に行われました“『桜姫』プレトークイベント”のレポなどを。…この時期にこの話、ってこと自体、立派に“壊古”だと思いませんか? もうすぐ楽だっていうのに“プレトークイベント”ですよ?(苦笑)
でも公演中のこの時期逃したら、もうこのネタ上げようが無いので…(汗)。
ちなみにこの企画の募集告知ページはこちら。もうしばらく経ったら、このページも削除されてしまうかと思いますが。


と、書くよー、と言ってみたものの。
いつもの如く、asariさんNAOさんのところにとっくに上がっているので…。
観劇記同様、“チラシの裏”ということで。
今となっては本当に解読不能に限りなく近いメモより、順不同で。



※写真はこのトークイベントの“おみやげ”。Bunkmuraオリジナルの一筆箋と“ドゥマゴ”の焼き菓子。あと参加費に含まれていた(?)『桜姫』の切符(十日の昼の部)。


ほぼオンタイムで開始。会場のお客さんは…20人いたかいないかくらい?(汗) 私は前から二列目の通路際に。
福助丈は黒のスーツにピンクのシャツ。ノーネクタイのラフなお姿。向かって左側に着席。私のところからは前の人に遮られて、近いのにお姿がほとんど見えない…(苦笑)。*1


五月七日に歌舞伎座にて夜の部を拝見していた私、福助丈の声が荒れていたことが非常に気になっていました。
すると福助丈、開口一番
「風邪をひいてしまいまして…。」
とのこと。納得。*2


「『桜姫』お稽古は明後日(16日)からです。」


ビデオや写真が普及したことにより、特に近年になって“型”というものにうるさくなった。
六代目菊五郎丈の『すし屋』のいがみの権太の有名な写真は、実は肩脱ぎと桶の構えが逆になってしまっている。これは前日に鴨猟に行って、銃で肩を打ってしまい怪我をしたため、本来脱ぐべき方の肩が出せなかったため。しかしこれが現在“型”として伝えられている。*3


また上記の話に次いで。
歌右衛門丈の演られていた『関の扉』をそれこそ毎日見ていた福助*4。そんなある日、NHKの収録が入ることに。だがしかしここで事件が。
墨染と関兵衛が盃で酒を飲む場面で、後見さんが盃の用意を忘れてしまったとのこと。しかし舞台はそのまま進んでしまい、結局盃の代わりに懐紙を代用してその場を凌いだと。そして当然のことながら、NHKのフイルムには、その“型”が記録されてしまった。
「現在『関の扉』というものの“型”は残っていますが、何年か後、このフイルムを観た人が「これが正しい“型”なんじゃないか。」と思うことがあるかも知れない。」
ことほど左様に、“型”というものはあるようで無い、記録というものに左右されてしまうようなものでもある、というようなお話。
しかしこのアクシデントに遭遇した福助
「僕もうどうなるか怖くて、逃げちゃいました(笑)。」
というのが何とも(笑)。


『桜姫』は“孝玉”の上演以来、ずっと演りたいと思っていたお役だったのだけれど、色々な制約などがあって実現せずにいたところ、思いがけないところからの伏兵(笑)、染五郎丈が上演して、更に玉三郎丈の再演もあったりと…。*5


「歌舞伎の演目には、実はびっくり、というような内容のものが結構多いんですよ。例えば先日、先代の三津五郎のおじさまの追善で出た『どんつく』。あれなんて原本よく見たら「えぇ、歌舞伎座でこんなの演っていいの?」っていうくらいエッチな内容なんですから(笑)。」
とおっしゃる福助丈、本を読んでいる仕草を交えた語り口が何とも言えずお茶目(笑)。


「『桜姫』と題名を短くしたことに特に意味は無いんです。」*6 *7


「もうすぐ『題名のない音楽会』が放送されますが。あ、その前に『中村歌留多』がありますのでよろしく。(会場より拍手)」
「最初は単純にオーケストラをバックに日本舞踊を踊る、というだけの企画だったんですけど、それじゃああんまりにもつまらないので、歌舞伎とコラボレーションしようということになったんです。で、『カルメン』を踊ることになって、薔薇柄の着物を探したんですけど、これがね、無いんですよ。で、作ってもらおうと思ったんですけどね、とても一月では無理だと言われて。それでね、髪に挿したんですけど、薔薇を(笑)。」
30分に編集されてはとても勿体無い、というお話もされて。
「DVD出したいですねー。」
なんておっしゃっていたのですが。…是非実現して戴きたいものですが既に放映から一ヶ月以上経ってますし、難しいですかね…。


「『魚屋宗五郎』は(二代目)松緑のおじさまに遠慮されて、先代の勘三郎のおじさまは演られなかったんですが。*8その代わりに演られたのが『檻』。当時勘九郎(当代勘三郎)のお兄さんと僕が夫婦役で、勘九郎の兄さんと勘三郎のおじさまが親子の役だったんですが…。舞台上で二人とも本気で喧嘩沙汰で毎日演られていて、間に挟まれた僕は本当のお嫁さんみたいにキリキリしてました(笑)。」


以下個人的に思ったこと。


このところつくづく“似てらっしゃること…”と思うことの多くなった、福助丈と橋之助丈。この日もふとした横顔などが橋之助丈と似てるなぁと。*9
あとやはり手が綺麗…。手自体の形などだけでなく、お話をされている際の仕草とかも素敵ですよねぇ。


「私に触ると感電するよ!」
生で聴けました〜!!(嬉) でもその時のお顔が拝見出来なかったのが心残り(苦笑)。


この日、私が一番気になったのは、実は福助丈の言葉遣い。
“ムリクリ”という言葉を頻繁に使われていた気がしました。
 →例:松岡さん「今日いらっしゃった方は皆さん『桜姫』をご覧になられるんですよね?」
    福助丈「えー、だって今日のこのイベントは、チケットムリクリセットでご参加されてるんですものねぇ(笑)。」
私自身もこのところよく使いますが、一体どこからあのような言葉をお知りになられたのか…なんだかとても不思議。*10


正味一時間ちょっとのトークショウでしたが、私が覚えている内容と言ったら上記くらい。相変わらず記憶力ってものが…。


昨日途中まで保存してあった文章に続きを足したので、今日の作業分はそんなに多くは無かったんですが、それでももうこんな時間。
さぁ、これから髪乾かして爪塗って…。
明日も昼の部、観劇なのでございまする。結局最初の予定通り、『桜姫』観劇は六回となった次第。
楽しんできます。

*1:そういえば後ろに金屏風立てかけてあったんですが、これがまたボロくて…(汗)。あんなんなら無かった方が良かったのにな、どーいうつもりだったんだろう。

*2:しかしこの風邪が現在まで尾を引いてしまっている訳ですね…。

*3:これはお父様である芝翫丈から聞いた話、とのこと。

*4:正確には当時は“児太郎”だったはずですね。

*5:この話の際、福助丈の口から「玉三郎のお兄ちゃま」という発言が(笑)。

*6:とは言いつつ、後に歌舞伎モバイルで「インパクトがあるから。」という発言をされていますが。

*7:原本を売店で売るというのもいいですね、という発言もあって、「それは是非!!!!!」と思っていたのですが、これは残念ながら実現しなかったですねぇ…。

*8:というのはとても有名な話だそうですが…。恥ずかしながらワタクシこの時まで全く知りませんでした(汗)。

*9:正確には福助丈の方がお兄さんなので、橋之助丈の方が似ている、ということなんですけど(笑)。

*10:私自身がどこからこの言葉を覚えたのか定かでないというのもありまして(苦笑)。恐らくネット上でだと思うのですが。気になってちょっと調べてみましたところ、“ムリクリ”って北海道の言葉みたいですね。四月に『蛇炎』上映会で札幌に行かれた際に覚えられて来られたのでしょうか?