八月納涼歌舞伎・第二部(初回)



◆十七日 三階1列22番*1



写真は言ってみれば今回の観劇には関係無いなぁ(苦笑)。
宙乗り使わない部では三階席はこんな感じ、ということで。写真では六列目以降が幕で覆われていますが、宙乗りアリの三部では一列目まですっぽり黒幕で覆われてしまってました。その分当然席が減る訳で…大人気の部なのに席激減。益々取りにくくなるという図式(?)。


またも数時間後には歌舞伎座へ、という状況なので、さっくりと感想を…。ってまた長々になっちゃうんだろうなぁ(汗)。
取り敢えず、“続きを読む”使いますねー。

『伊勢音頭恋寝刃』



先日観た『法界坊』の時とは打って変わった涼やかな姿で登場(笑)の勘太郎くん。七之助くんのお岸も綺麗で、
「似ているような似ていないような、でも兄弟。」
と、なんだか不思議な感覚に襲われる(苦笑)。
その後、花道より登場の貢の三津五郎丈もすっきりしたイイ男っぷり。続いて出てきた万野の勘三郎丈は…生で先代拝見したことありませんが、なんつーかもうそっくり!と、ただひたすらびっくりしてしまいました(汗)。胸元が広く開いていたのですけど、普通なら色っぽく見せるためのものであろう“開き”が、だらしないというのとはまた違い、意地の悪い雰囲気を強調しているようでした。
喜助の橋之助丈は、『桜姫』の権助を思い出させるナリで、なんつーかドキドキしたりして(苦笑)。あぁいう“気風のいい男”って似合いますよねぇ、橋之助丈って。
お鹿の弥十郎丈は…私が好きな役者さんというのもあるかと思いますけどね、不器量だけど、それ故に可愛い、っていう感じがあって良かった! あの緑の着物も普通に考えると凄いもんだけど(笑)、そういう人物というのを強調している感が。
でー、ふと気付くと後ろの暖簾裏で立ち聞きしている人影。紫の裾が見えまする〜。ウォッチ開始です(爆)。
お紺の福助丈がお出ましー、の後は、お鹿と貢のやり取りなど、舞台中央より下手側で芝居が進行しているにも関わらず、ワタクシの体は上手側向きに固定(死)。
途中、お鹿が貢との文を見せるために箱を持ってきて、「これは私の大事なお人形。」とか広げ始めた時には、他にも色々面白いものが出てくるというのをいずこかのブログで拝見していたので気にしてちらちら見ていたのですが…上手側のお紺の不機嫌オーラに勝てず(苦笑)。福助丈の“不機嫌そうな表情”が凄い好きな私としては、もう目が離せず<てーかどんな表情でも好きだろう…(死)。煙管に煙草を詰めてふかす仕草とか、もうダメです、ヨソ見られません(泣)。縁切り入ったら、文字通りうっとりしてるし(涙)。
ともあれ、三津五郎丈の貢、やはり初役とは思えないハマり具合で素敵でした。
万野に悪態つかれて怒りがこみ上げてきて、鞘で打っているつもりが割れてしまい、中の刀で切りつけてしまったところが運命の皮肉というか。次々に人を斬っていきながらも無表情な様子はまさに“氷のような”という言葉がぴったり。刀に引かれるような動きは『鏡獅子』の弥生が手獅子に引かれていくところを思い出しました。
あと、二場になって、あんなに実際に血塗れの人物が出てくるというのも珍しいんじゃないかな、と思ったんですが。
普通、歌舞伎で“斬られた”という様子は言ってみれば“型”で片付けられるもので、せいぜい足を切られれば切られた足が転がったり、顔面をそぎ落とされればべろっと顔が落ちる、という表現をするというものでしょう。
あんなに斬られた方も斬った方もべったり血が付いた姿、というのは記憶に無いんですが…うーん、なんか記憶違いと言うか、すっぽり忘れているんだろうな、とは思うんですけどね(汗)。とにかく“凄惨”とか“鬼気迫る”という様子倍増。
でもこれが、お紺が飛び出して、必死で「私、私。」と縋ると正気に戻るというのがまた凄い(笑)。お紺の命乞い、ではなく、飽くまで貢に正気を取り戻して欲しい、という気持ちが通じた、ということですね。
で、あんだけ人を斬っていたのに、刀と折り紙が無事揃ってめでたしめでたし…ってもういかにも歌舞伎(笑)。その後のことが気になってしょうがないという馬鹿なワタクシでございます(滝汗)。
でも“いかにも夏らしい”という風情がたっぷりで良かったです。

『蝶の道行』



…うーん…。なんつーかこう…(汗)。
引抜とかあって結構華やかな演目なんだけれど、今ひとつ物足りなさが…。
踊る二人は蝶、ということなので、舞台上の草花がとても大きい、というのは理解出来たし、それで全く問題は無いと思ったんだけど、なんつーか…それ故にごちゃごちゃしちゃってる、ってことか! 踊りより舞台装置の方に目が行きがち、ということだったのかな、と今思った。
浄瑠璃の皆さんの裃が蝶の柄、と徹底していたのは何となく意外だったりもしました。*2

『京人形』



私の中では、まずこの演目は
左團次さんの襲名披露演目ー!」
という(笑)。勿論拝見などしておりませんが…。
そんなこんなで内容は自分なりにわかってるつもりだったんですけれど、正直地味な演目だよねぇ、と思っていたんです。
でも実際に観てみたら、あらこれ素敵、って。
甚五郎の奥さんてば良く出来た人だなぁ、って微笑ましいし、魂が宿った京人形の動きや踊りも楽しいし。動くことに気付いてびっくりしたものの、それを喜ぶ甚五郎も面白い(笑)。
最後、実はお姫様匿っていて、それを気付かれたんで逃がさなきゃ、という展開はかなり唐突ですが(苦笑)。敵と誤解していきなり甚五郎に切り付ける照平なんぞとんでもねーし(爆)。*3
で、最後の甚五郎と大工との立廻りまでいっちゃう、ってのはこれもまた想像を超えた展開なんだけれど(笑)、これが凄く格好良かったんですよねぇ〜。
大工の半纏の背には祗園守がでかでかと入ってるし、衿には“成駒屋”だし。なんかもうこれだけでもドキドキだった私ってどうなの?(失笑)
でもこの最後の立廻りを観て、この演目は襲名披露演目になり得るものなのだ、ということを納得しました。ありゃいいよねぇ〜。


なんか自分的にはいつにも増して文章にまとまりがありません(泣)。コーヒー飲み過ぎてぶっ飛んでますね、コレは(滝汗)。
しかもやはり長文ですんごい“イイ時間”になっちゃって。
3時間後には起きてないとイカンですよー(汗)。
と、本当に纏まらないまま、今回はこれにて…。

*1:なんと偶然にも“演劇人祭”の時と同じ席でした。

*2:あと途中まで読んで放置状態だった『歌右衛門の疎開 (岩波現代文庫)』を今読み返しているところなんですが、帰りに読んでいたらこの演目に関することが書いてあって、偶然にびっくりしました。

*3:そして久々に拝見した新悟くん。やはり御本人の意思に反して(?)ご成長著しい、という感じ。「姫デカイっ!」って思っちゃいました(汗)。でも背が伸びた分、以前にも増して細くなった気が…。だがしかし首が体全体に比べて妙に太く感じたのは何故? さっき女形を演じていたお父様(笑)に手を引かれて去っていく姿に「大和屋!」と声を掛けたくなってしまいました。次に拝見できるのはいつかしら、新悟くん。