劇評・記者会見

歌舞伎:三月大歌舞伎(歌舞伎座) 情愛にじんだ仁左衛門の菅丞相
十三代目仁左衛門の十三回忌追善演目が昼夜に出された。
昼の追善は最後の「道明寺(菅原伝授手習鑑)」。仁左衛門は、自分の存在が不幸を招いた覚寿(芝翫)一家への、悲しみが感じられる菅丞相を品位を保ちつつ見せた。幕切れ近く、苅屋姫(孝太郎)と目を合わすのを避け、取りすがる姫に、扇で思いを伝える。袖を巻き上げ、舞台を振り返っての花道の入りまで、情愛がにじんだ。芝翫は、宿禰太郎(段四郎)を討つくだりで強さを見せ、後の立田の前(秀太郎)の亡きがらを前にしての悲しみをより深いものとする。富十郎の輝国にさわやかさがあり、段四郎が単純で残忍な男をうまく見せた。歌六、孝太郎が好演。
  〜後略〜

毎日新聞 2006年3月20日 東京夕刊》

写真は『道明寺』より、菅丞相(仁左衛門)、覚寿(芝翫)、孝太郎(苅屋姫)。


今月は劇評出るの遅い気がするんですが。毎月観劇前に見てるんですよね。それで何となく「ネタバレされてる…。」という気分になるんですけど(笑)。
この写真素敵です。当然モノクロですが、下手な筋書の写真よりよっ…(以下略)。*1


そしてこの記事の下に。

市川團十郎さん:「復帰でき無上の喜び」−先月退院、会見
「復帰できるのは無上の喜び。前より楽しんで舞台を務められる心境です」
「急性前骨髄球性白血病」再発の疑いで、昨年8月末から入院加療をしていた歌舞伎俳優、市川團十郎の舞台復帰会見=写真・手塚耕一郎=が15日に行われた。演じる役は東京・歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」昼の部「外郎売(ういろううり)」の外郎売実は曽我五郎。市川家の家の芸である「歌舞伎十八番」のひとつで、團十郎海老蔵時代の1980年に野口達二による新たな脚本で復活して好評を博し、上演を重ねている。「なごやかな気持ちで務められればと思います」
再発が分かったのが昨年8月で退院は今年の2月22日。その間に「自家末梢(まっしょう)血幹細胞移植」などの治療を受けたという。「地獄の亡者みたいな思いもしました。今は無間地獄から戻ってきたような気持ちです。病院のベッドで考えるのも芝居のことばかりでした。おいおい舞台数も増やしていきたい」と力強く語った。

毎日新聞 2006年3月20日 東京夕刊》

写真は会見時の團十郎丈。


取り敢えず演舞場の予約は終わったので、次は團菊祭の予定を…ってもう自分の中では決まってるんですけどね。
良い席が取れるといいんだけどなぁ…。

*1:いやだってお一人の写真は良いもの多いですけど、引きの何人か纏めて写っているものって結構ボケボケだったりしませんか?