まんまと逃げ切り(笑)



18:45に仕事上がり。
『伊勢音頭恋寝刃』幕見して参りました。


去年の納涼の時と比べるのも余り意味が無いかとも思いますが、今回の方がよりドロドロしたものを感じましたね。万野は勿論、お鹿が特に。
弥十郎丈のお鹿は、ちょっと“足りない”っぽくて、それ故の可愛らしさを感じたのですが、東蔵丈はそれが全て嫉妬になっているという印象。


万野はねぇ…(苦笑)。文字通りの“贔屓目”でしょうが、年増の嫌らしさの合間に“女”が滲み出ていた、というか垣間見えたというか。序盤、ちょっとうるさいかな、という感じもしましたが。
貢を責めたてる合間にふと見える女の顔。
貢を追い出した後、戸口に立ち続け様子を伺っている後ろ姿。最初は普通に立っていたのだけれど、そのうちすっと格子に手を添えた形になった時。薄っぺらい憎しみなどでない、色気と嫉妬が入り混じったような何かが揺らめいて立ち上っていました。その美しさに思わずため息をついた私。*1


あとは勘太郎くん大健闘! てか彼は最近本当に観る度に“進化”している気がしますね。怖いくらい。姿は綺麗、声も良し、後ろに控える居ずまい良し、と。
仁左衛門丈はいかにも“手の内”という感じで、だからといってダレるなどということなどは全く無く。
座敷で一人語る姿に、ふっと
「歌舞伎っていいなぁ…。」
いう思いが込み上げて来ました。


仕事帰りに、というと、バタバタして落ち着かないまま“日常”を引きずって観劇ということになり、あまり良くないなぁ、と正直思っていたのですが。
“日常”から一足飛びに“非日常”に引きずり込まれる快感みたいなものを、今日はたっぷり味わうことが出来ました。
今月あと3回ある水曜日、ムリクリ早仕舞いして通っちゃおうかなぁ…。


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ここにも桜
ここにも桜 posted from フォト蔵


これは幕見席に行く途中の階段の踊り場。
薄暗くて殺風景で、無機質という言葉すら浮かんでくる階段ですが、その時々に合わせた飾りがあるのが嬉しい。
ちなみにエントリー最後に
> 今月あと3回ある水曜日
と書きましたが、最終週は楽翌日なので観られませんて…(失笑)。

《2006.4.6 モブログ更新であったため一部文章修正・追加、写真追加》

*1:先日の茶話会の時に思ったのですけど、本当にびっくりするくらい痩せられて、素顔の清しさと共に美しさ倍増の福助丈、というのもありで<もうアナタ…(苦笑)。あとよくお見掛けするものですが、今回も使っていらした裏梅散らしの手拭い、どこかで手に入らないものでしょうかねぇ<後援会入れ、ですか?(汗)