劇評

歌舞伎:初春大歌舞伎(歌舞伎座) 雪姫の嗜虐美見せた玉三郎
なじみある演目と豪華な顔合わせの正月らしい充実した公演である。
吉右衛門の「俊寛」。瀬尾(段四郎)に止めをさす際、彼方に目をやる姿に、すべてを断ち切ろうとする決意がうかがえ、ぼうぜんと赦免船を見送る幕切れにあきらめきれない気持ちがにじむ。人間性が出た俊寛だ。福助の千鳥がはつらつとし、段四郎が憎々しく、富十郎の丹左衛門はすがすがしい。東蔵歌昇と周囲もそろう。
  〜後略〜
毎日新聞 2007年1月11日 東京夕刊

写真は『金閣寺』より東吉(吉右衛門)、鬼藤太(彌十郎)、大膳(幸四郎)、雪姫(玉三郎)。