劇評

歌舞伎:四月大歌舞伎(歌舞伎座) 品位と強さがある二代目錦之助
信二郎の二代目錦之助襲名披露がある。
披露演目は昼は最後の「菊畑」。新錦之助の虎蔵を富十郎の鬼一、吉右衛門の智恵内、時蔵の皆鶴姫の顔ぞろいが的確な演技でもり立てる好舞台。錦之助は品位と強さがあり柄もいい。これで智恵内とのやりとりにもう少しテンポが出ればと思う。歌昇の湛海は軽みがあるところがいい。
最初の「春駒」は獅童の五郎、勘太郎の十郎、歌六の工藤、七之助舞鶴の華やかな舞台。続いて「頼朝の死」。父の死の謎に迫るほどに無力感にさいなまれる頼家の苦悩を梅玉が描く。芝翫の政子が大きく手ごわく、福助の小周防がいちずさを出し、歌昇の重保が直情ぶりをうまく見せた。歌六の広元が重厚。「男女道成寺」はおおらかな仁左衛門の左近、動きの鮮やかな勘三郎の花子とそれぞれの魅力が出た。
  〜後略〜
毎日新聞 2007年4月12日 東京夕刊

写真は『菊畑』より智恵内(吉右衛門)、虎蔵(錦之助)。