劇評

歌舞伎:三人吉三(シアター・コクーン) それぞれ魅力出た勘三郎福助橋之助
コクーン歌舞伎では6年ぶりの「三人吉三」。河竹黙阿弥作、串田和美演出・美術。
和尚(勘三郎)、お嬢(福助)、お坊(橋之助)の義兄弟の契りを結んだ吉三を名乗る3人の盗賊を巡る因果話。盗まれた名刀、庚申丸とその代金であった100両の経緯が分かる場面を、3人が初めて出会う「大川端」の前に付け、筋を分かりやすくしてある。
見ごたえがあるのが、すべての因縁が明らかとなる「吉祥院」。知らずに近親相姦(そうかん)に陥った十三郎(勘太郎)とおとせ(七之助)を前にし、殺害を決意する和尚の苦悩を勘三郎は視線やそぶりから丁寧に描き出していく。和尚に促された2人の姿は運命を象徴するかのように闇に消える。明と暗を作り出す照明(斎藤茂男)が効果的だ。
  〜後略〜
毎日新聞 2007年6月20日 東京夕刊

写真は大川端庚申塚の場よりお嬢(福助)、和尚(勘三郎)、お坊(橋之助)。