インタビュー

歌舞伎:菊五郎が4年ぶり弁天小僧 分かりやすい丁寧な通し、五代目のように派手に
尾上菊五郎が東京・歌舞伎座の5月夜の部で「青砥稿花(あおとぞうしはなの)紅彩(にしき)画(え)(白浪(しらなみ)五人男)」の弁天小僧を演じている。
初演は1965年の東京・東横ホール。以来、あたり役として上演を重ねてきた。今回は4年ぶり。通し上演である。
「お客様に楽しんでいただける狂言にしたい。毎回、まっさらな気持ちでつとめなければいけないと思っています」
初演では父の尾上梅幸に教えを受けた。だが、小道具を使う間合いなどは「やりながら考えました。ビデオもない時代でしたから、自分で作ったようなものです」。
弁天は冒頭で若殿になりすまして登場し、後に盗賊の本性を現す。歌舞伎屈指の人気場面が、武家娘に化けた弁天が呉服店に乗り込む「浜松屋」。金をゆすろうとした弁天は男と見破られ、片肌を脱いで居直り、テンポよくタンカを切る。
続く「稲瀬川」では、日本駄右衛門を頭目とする一味の5人が勢ぞろい。捕り手に追われた弁天は、最後には極楽寺の山門の上で立ったまま切腹して果てる。
「丁寧な通しなので『浜松屋』しかご覧になったことのない方はもちろん、初めての方にもよくお分かりいただけるはずです」
  〜後略〜
毎日新聞 2008年5月8日 東京夕刊

写真は『浜松屋』の場から、弁天小僧(菊五郎)。