劇評

歌舞伎:夏祭浪花鑑(シアターコクーン) 人間の情念の爆発見せた勘三郎
ベルリンとルーマニアで上演した作品の凱旋(がいせん)公演。串田和美演出・美術。
「お鯛茶屋」からの通しで、発端に団七のけんかによる入牢(ろう)の経緯を補足している。上演2時間強で大詰めまで運ぶスピーディーな展開だ。
団七による義平次殺しでは、義平次の駕籠(かご)を追った団七が「三婦内」を飛び出し、一気に「長町裏」に至る。
その間をつなぐ和太鼓(上田秀一郎)の演奏が疾走感をかきたてる。スポットライトのように用いた手燭(てしょく)に団七と義平次の形相が浮かびあがり、背景に張り巡らせた暗幕に巨大な団七の姿が投影される演出が効果的だ。暗幕が落とされると、一瞬にして高津宮の祭りの群衆が現れ、団七は客席に姿を消す。
  〜後略〜
毎日新聞 2008年6月19日 東京夕刊

写真は長町裏の場より団七(勘三郎)と義平次(笹野高史)。


気が付けばまさに今日からお辰は七之助くんがお勤めになられているのですねー。
一度大詰を裏から拝見してみたいわー、と思いつつ、楽まであとわずか…。