インタビュー

歌舞伎:新作「大老」上演 吉右衛門が直弼役「人生の機微ある芝居に」
井伊直弼(なおすけ)の半生を描いた北條秀司の新作歌舞伎「大老」が、中村吉右衛門の直弼により、国立劇場(東京・三宅坂)で上演されている。
北條が自作の「井伊大老」を改訂したのが「大老」で、初演は1970年の国立劇場。攘夷(じょうい)派を処罰した「安政の大獄」で知られる直弼は、吉右衛門の実父の松本白鸚(はくおう)(八代目幸四郎)がつとめた。
「実父も、慎重さをもちながら、時としてびっくりするような決断をする人でした。風流人でもあったし、直弼にはぴったりで、無理せずに作れる役だったろうと思います」
兄の死の前、井伊家の部屋住みだった直弼は、幕府に不満を持っていた。
「でも、自分が中枢になると、思った以上に大変だった。今でもそういうことはあるでしょう。国を動かすのは生きがいのある仕事だが、人間として捨てなければいけない部分も出てくる。最後に『捨て石になるのだ』と死んでいきます」
  〜後略〜
毎日新聞 2008年10月15日 東京夕刊

写真は直弼(吉右衛門)(スチール写真)。