劇評

歌舞伎:コクーン歌舞伎「桜姫」(シアターコクーン) 初々しさと大胆さ交じる七之助
鶴屋南北作の「桜姫東文章」の串田和美演出による上演。
吉田家の息女の桜姫(七之助)は、僧の清玄(勘三郎)と心中をはかって亡くなった白菊丸(七之助)の生まれ変わり。生き残った清玄はそれと気づいて桜姫に執着するが、姫は悪党の権助橋之助)を恋していた。
前世の因果によって落ちていく桜姫に、清玄や権助ら、さまざまな人間がからむ。舞台の左右と上部にも客席が設けられ、場に応じて舞台上の盆が回転。装置は簡略化され、俳優は常に四方から観客に注視される。すべてが虚構であり、見せ物師の勘六(笹野高史)が述べる口上のごとく、見せ物であることが明示されているわけだ。
  〜後略〜
毎日新聞 2009年7月23日 東京夕刊

写真は清玄(勘三郎)、桜姫(七之助)。