夏の風物詩

more楽:夏の歌舞伎の定番・怪談 怨念の怖さ、ゾクッと
夏に多く上演される歌舞伎演目に怪談物がある。冷房のない時代に暑さで遠のきがちな客足を芝居に向けるための、飽きさせないようにする工夫だ。冷房完備の現代にも怪談物の伝統は受け継がれ、8月の東京・歌舞伎座の「納涼大歌舞伎」では2部に「真景累ケ淵(しんけいかさねがふち)・豊志賀の死」、3部に「怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)」がかかる。ともに三遊亭円朝作の落語が原作だ。【小玉祥子


芝居に幽霊が登場する素地は昔からあった。歌舞伎の演目に影響を与えた能は、曲の大半の主役(シテ)が「××の霊」、つまりは亡霊だ。「納涼大歌舞伎」の2部で上演される「船弁慶」も同名の能が題材で、主役は平知盛の霊(中村勘三郎)である。能では幽霊のほとんどが、僧の祈とうで成仏するが、歌舞伎の幽霊の多くは、もっと攻撃的だ。
「豊志賀の死」の女主人公、豊志賀は富本節(とみもとぶし)の師匠。年下の弟子、新吉と恋仲だが、目の下の腫れ物が原因で病床に。豊志賀は看病する新吉と弟子のお久の仲を疑って嫉妬(しっと)に狂い、病状も悪化。新吉は身辺に、豊志賀の影を感じるようになる。
「恋におぼれた豊志賀は、年上という引け目もあって相手の心を疑い、心理的に追い詰められます」と、豊志賀を演じる中村福助さんは話す。
  〜後略〜
毎日新聞 2009年7月25日 東京朝刊

写真は『豊志賀の死』より豊志賀、『かさね』よりかさね(いずれも福助)。


今年の納涼の二部は2演目共に幽霊が出てくるのねぇ、と今更ながら気付いたり。*1

*1:毎週、このコーナーをチェックするのが習慣になっているのですが。昨日はこの記事を見て、福助丈のインタビューににやりとしてから出掛けました(笑)。