劇評二題


歌舞伎:PARCO歌舞伎「決闘!高田馬場」(パルコ劇場)
染五郎が矛盾だらけの剣豪好演
高田馬場の決闘」に題材を取った三谷幸喜作・演出の新作。
中山安兵衛(染五郎)は、大工の又八(勘太郎)ら長屋の人々の情けにすがって生きていた。すねて酒びたりで、叔父、六郎左衛門(錦吾)が託した手紙も見ようとせず、旧友の右京(亀治郎)には、堕落の原因を問いつめられる。しぶしぶ読んだ手紙には、果たし合いに向かう叔父の胸中が記してあった。安兵衛は仲間に激励され、果たし合いのある高田馬場へ向かう。
  〜後略〜

毎日新聞 2006年3月13日 東京夕刊》

写真は左より宗之助、高麗蔵、亀治郎染五郎勘太郎、橘太郎


この写真て結構最後に近いんじゃないかな、と思うんですが。染ちゃん“いざ果し合いへ!”って格好してますし。
そして照明が下から放射状に出ている、というのが“常の歌舞伎に無いものだな”と今気付いた次第。
たーのーしーみー(笑)。

歌舞伎:當世流小栗判官(国立大劇場) 段治郎に強さと大きさ
小栗判官物の集大成として市川猿之助が作り上げた作品が、一門の若手により上演されている。奈河彰輔脚本、石川耕士補綴(ほてつ)・演出、市川猿之助演出。
2部に分けられ、1部が発端から「堅田浦浪七住家」「同浜辺」まで。2部が「青墓宿」から大詰めまで。
1部のみものは「浪七住家」。照手姫(笑也)を守るための浪七(段治郎)、お藤(門之助)夫婦の献身が描かれる。段治郎に強さと大きさがあり、浜辺での壮絶な最後まで出色の出来。門之助が夫を思う世話女房を情感豊かに演じ、猿弥の胴八が、道を外した小悪党を好演。右近が小栗判官とは正反対の知恵が回らぬ橋蔵をおもしろく見せた。「大膳館」での小栗判官(右近)の馬の曲乗りなど変化に富んだ舞台である。猿弥は二役の横山大膳も好演。
  〜後略〜

毎日新聞 2006年3月16日 東京夕刊》

写真は右近、笑也の宙乗り場面


一部、二部、どちらかだけを観ても、始まる前に解説があるのでとても分かりやすく親切といった評判をあちこちで拝見しています。
今日も歌舞伎座正面へ出る地下鉄階段の昇り口で…電車が強風で遅れたので一瞥しか出来なかったのですが、春猿丈がきれい〜、というのはチェックしてまいりました(苦笑)。

《2006.3.17 記》