劇評二題

歌舞伎:新春浅草歌舞伎(浅草公会堂) セリフ小気味いい愛之助の権太
若手花形中心の公演。1部が「義経千本桜・すし屋」、2部が「同・渡海屋、大物浦」とそれぞれに役代わりの「身替座禅」。
「すし屋」は仁左衛門の監修で愛之助の権太。上方風の吉野の小悪党の風情で、セリフのめりはりが利き、小気味いい。身代わりに立てた妻と娘との別れでは、悲しみの気持ちを細やかに見せる。七之助の弥助は優しげでありながら、平家の公達の品位と底にある強さを感じさせ、芝のぶのお里は愛きょうと情味がある。男女蔵の弥左衛門、獅童の梶原、亀鶴の若葉内侍。
  〜後略〜
毎日新聞 2007年1月15日 東京夕刊

写真は『すし屋』より弥左衛門(男女蔵)、お里(芝のぶ)、権太(愛之助)、お米(嶋之亟)。*1

歌舞伎:梅初春五十三驛(国立劇場) 趣向満載し肩の凝らぬ娯楽作に
◇梅初春五十三驛(うめのはるごじゅうさんつぎ)
166年ぶりの通し上演。三升屋二三治・中村重助・五世南北ほか作、国立劇場文芸課補綴(ほてつ)。
ねずみの妖術を使う木曽義仲の遺児、義高(菊五郎)の野望を巡る騒動が、京都から江戸までの東海道の道中に描かれる。
義高の婚約者、大姫(時蔵)、守護する小弥太(三津五郎)、宝剣を奪われた大江因幡之助(松緑)、探索にあたる家臣の白井権八菊之助)と登場人物は多く、関係も入り組んでいるが、こだわらずとも、十分楽しめるように構成されている。
  〜後略〜
毎日新聞 2007年1月15日 東京夕刊

写真は猫石の精霊(菊五郎)。


こちらもご覧になられた方のBlogなど拝見しますと、とても面白そうで観たいなー、と。
せめてテレビでオンエアされないかしらと思うけれど、でもなかなか国立のものは放送されることってないですしねぇ。

*1:観たかったな…。特に芝のぶちゃんのお里(他の方はこれから先、同じお役で拝見出来ることがあるかと思いますが、芝のぶちゃんのお里はちょっと難しいのでは、という気がするので)。