劇評

歌舞伎:團菊祭 五月大歌舞伎(歌舞伎座
  〜中略〜
◇「女暫」の萬次郎に大きさ
夜の最初が十七世羽左衛門七回忌追善の「女暫」。萬次郎の巴御前は声がよく通り、大きさもある。彦三郎の範頼、権十郎の義高で三兄弟の顔がそろう。松緑の震斎、菊之助の若菜、海老蔵の成田五郎と若手が活躍。三津五郎の舞台番がごちそうだ。続いて松緑の勢いのある「雨の五郎」と三津五郎が、面を用いて3役を見事に踊り分ける「三ツ面子守」。最後が「め組の喧嘩(けんか)」。菊五郎の辰五郎がお仲(時蔵)、息子の又八(虎之介)との別れの場面でしんみりとさせ、後の喧嘩場では威勢よく暴れる。時蔵が気風(きっぷ)の良さを見せ、團十郎の四ツ車に貫禄がある。たてに見応えあり。25日まで。【小玉祥子


毎日新聞 2007年5月14日 東京夕刊

写真は『女暫』より巴御前(萬次郎)、義高(権十郎)、範頼(彦三郎)他。


あちこちで素晴らしいという感想を拝見しています、『女暫』。この記事の写真はモノクロですが、袖に大きな橘の紋が映えて素敵です。実際に拝見するまであと数日。楽しみです。