インタビュー

中村吉右衛門:2日から初代偲ぶ「秀山祭」 清正はあまり泣かずに悲しみを表現したい
初代中村吉右衛門の業績を偲(しの)ぶ当代吉右衛門が中心になっての「秀山祭」が、昨年に続き9月の東京・歌舞伎座で開催される。初代の孫で、養子となった吉右衛門は「段々と輪が広がってきました。秀山祭が固定していけば、10年、20年の幅で考えられます」と意欲を見せている。【小玉祥子
今回、当代が演じるのは昼の部が「熊谷陣屋」の熊谷直実、夜の部が「阿古屋」の重忠と「二條城の清正」の加藤清正。熊谷と清正は初代のあたり役だ。
「熊谷」は源平の合戦のころの源氏方の武将、熊谷直実が主人公。直実は後白河院の落としだねである平敦盛を助けるため、身代わりにわが子の小次郎をたてる。源義経と妻の相模らが見守る中で、直実は実は小次郎である敦盛の首実検を行う。「心理劇としてもよくできた芝居です。初代は九代目(市川)團十郎の型を参考とし、自身の解釈を加えました。死に対する人間の思いが色濃く出ています。矛盾点もありますが、大事に残していきたい」
初代は幕切れで、僧形となって花道を入ってから、毎日泣いていたという。「そう言われても最初のころは覚えたことをやるだけで精いっぱい。前回(02年)からやっと泣けるようになりました」
芝翫義経福助の相模、富十郎の弥陀六、芝雀の藤の方の配役。
  〜後略〜
毎日新聞 2007年8月30日 東京夕刊

写真はインタビュー時(?)の吉右衛門丈。