劇評

歌舞伎:十月歌舞伎公演(国立劇場) 情感豊かで描写細やかな幸四郎
古典の名作「平家女護島(にょごのしま)−俊寛」と復活上演となる「昔語黄鳥墳(うぐいすづか)−うぐいす塚」の2本立て。
  〜中略〜
「うぐいす塚」は、大芝居では1929年以来の上演。奈河彰輔監修、国立劇場文芸課補綴(ほてつ)。
 長柄の長者、左衛門(梅玉)の娘、梅ケ枝(宗之助)は、かわいがるウグイスを助けた貧しい青年の源之助(染五郎)に一目ぼれ。腰元、幾代(芝雀)の助けを得て婚礼にこぎ着ける。源之助は婚礼の席で、梅ケ枝の継母、玉木(東蔵)に茶の湯、謡、小鼓、太鼓の試練を与えられるが、難なくこなす。
源之助は、実は親の敵を探している名家の子息。婚礼では、前場から一転して美しい姿になり、謡などをこなす。染五郎のさっそうとしたところが役にふさわしい。2役で対照的な悪党、大仁坊も演じている。芝雀が忠義者の腰元の感じをよく出した。東蔵にねっとりとした色気があり、宗之助のかれんでおっとりとした風情がいい。27日まで。【小玉祥子
毎日新聞 2007年10月22日 東京夕刊

写真は『俊寛』より俊寛幸四郎)。


お堅い話なのかと思っていたんですが、おとぎ話みたいなんですねー『うぐいす塚』。
やっぱり観たかったな。再演してくれないかしら…。