書評

今週の本棚:渡辺保・評 『坂東三津五郎…』=坂東三津五郎・著、長谷部浩・編
◇『坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ』
岩波書店・1995円)
◇古典復活は新作以上に難しい創造
歌舞伎の入門書は山ほどある。しかし大抵は初心者向けである。ところがこの本は三津五郎が中級者−−もう歌舞伎を何度も見て、さらに先へ進みたいと思う人たち向けの案内書として作った点が珍しい。それにしては年に何回も出るような演目の筋がご丁寧に書かれているのがわずらわしい。中級者向けなら要らぬお世話。ナァニそこは飛ばして読めばいい。
さて一読すれば三津五郎のしゃべっていることは、きわめて常識的で、淡々としているように見える。しかしよく噛(か)み締めて読むとなかなか味わい深い。それだけでなく、芸の秘密から今日歌舞伎の直面している問題を浮き彫りにしている。そこを読み取れば、この本は凡百の芸談を超える値打ちをもっている。
  〜後略〜
毎日新聞 2008年9月14日 東京朝刊

毎週日曜の書評欄より。
とは言うものの、これは今日の記事ではなく、先週のものなのですが…。
あちらこちらのblogでこの本の感想等を拝見していましたが、ちょっと食指が動かずにいました。
しかしこの書評を見て俄然興味が。
最近、こういった本を売っている“書店”に行く機会が激減してしまい、*1未だ現物にすらお目にかかっていないのですけど。
是非手に入れて読みたいですね。
…本屋に行く機会が無いなら、Amazonで買えばいいのよね(笑)。

坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ

坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ


*1:ほとんどTSUTAYAのみ、になってますので…。