『道成寺』の魅力

more楽:歌舞伎「娘道成寺」の魅力 女形舞踊の要素を網羅
安珍清姫伝説を源流とする「道成寺物」は、能の「道成寺」から沖縄の組踊り「執心鐘入(かねいり)」まで、芸能の一ジャンルを形成している。歌舞伎の「京鹿子(きょうかのこ)娘道成寺」は女形舞踊の最高峰の一つだ。この人気曲を、坂東三津五郎さんが12月の東京・歌舞伎座昼の部で踊る。【小玉祥子
  〜中略〜
「日本舞踊の女形のすべての要素、技術が入っています。能から取ってはいても歌舞伎化し、娯楽作品になっている」と、日本舞踊の坂東流家元でもある三津五郎さんは魅力を説明する。本興行で坂東流の「娘道成寺」が披露されるのは、踊りの名人と言われる曽祖父の七代目三津五郎以来となる。
花子が寺へと至る花道での「道行」を重んじるのが、坂東流の特色の一つ。七代目は「嫉妬(しっと)物として『道成寺』を見せるのは、道行だけ」(「舞踊芸話」)とその重要性を語っている。今回は坂東流の通例にならい、義太夫ではなく常磐津を道行の地(伴奏)に用い、昔通りに衣装を赤にする。「現行は7、8分のところを15分ぐらいかけます」と三津五郎さん。
坂東流のもう一つの特徴は、題名の通りに「娘」として踊ること。「『道行』までは怨念(おんねん)、恨みの性根で芝居をしますが、舞台へ来たら『娘』になる。嫉妬を見せる部分も、娘が嫉妬のまねをするつもりでいたします」
女形が手がけてきた踊りだ。「女形の卒論のような曲ですし、女形でも歌舞伎座で上演する機会は少ない。立ち役の私には大変なプレッシャーです」
歌舞伎座の12月公演は2日から26日まで。問い合わせは03・5565・6000へ。
毎日新聞 2008年11月29日 東京朝刊

当blogでも以前一度話題にしましたが。
12月歌舞伎座三津五郎丈が『道成寺』の花子をおつとめになられるという記事が掲載されていました。
以前話題にしたものでは道成寺にお参りされたことが主な話題となっていましたが、今回は内容についてもより触れられています。
しかし興味深い内容であるにも関わらず、板東流だと道行に現行の約倍の時間をかける、ということで、3階席だと寂しさ倍増かも?なんて気になった自分。それに「そこかよ」とセルフ突っ込みの私…情け無し(苦笑)。


ちなみに、同じコーナー、先週は平知盛の特集だったのですが。*1
タイトルを見た時、顔見世で菊五郎丈が『船弁慶』をおつとめになられていたので「を。」と思ったのですけど。能と文楽と落語で比較、という企画があり、*2それに絡めての特集ということだったようで、歌舞伎については文末にちょこっと触れられていただけで。
なんだ残念…と思ったのですけど。今週、こうやって歌舞伎単体の特集が組まれたからまぁいいか、と<何だそれは(笑)。