劇評

歌舞伎:新春大歌舞伎(歌舞伎座) 吉右衛門菊五郎が絶妙の「対面」
今月からさよなら公演がスタート。昼夜に人気演目が並んだ。
  〜中略〜
夜の最初が「曽我対面」。吉右衛門の五郎が見事。高音が利いて力強く、動きもきっぱりとしている。対照的に菊五郎の十郎は低音でおっとりとし、絶妙の取り合わせだ。幸四郎の工藤、魁春舞鶴芝雀の虎、菊之助の少将とそろう。
続いて勘三郎の「鏡獅子」。女小姓らしい凜(りん)とした弥生から、勇壮な獅子への変化が見もの。千之助、玉太郎の胡蝶(こちょう)が愛らしい。
最後が三島由紀夫作「鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)」。勘三郎の猿源氏、玉三郎の蛍火が夢物語をゆったりと楽しく見せる。弥十郎亀蔵染五郎が好演。27日まで。【小玉祥子
毎日新聞 2009年1月14日 東京夕刊

写真は『対面』より十郎(菊五郎)、五郎(吉右衛門)、工藤(幸四郎)。