劇評
歌舞伎:二月大歌舞伎(歌舞伎座) 吉右衛門の弁慶に気概と大きさ
「さよなら公演」の2カ月目。昼夜におなじみの演目が並ぶ。
〜中略〜
夜は「蘭平物狂(ものぐるい)」から。三津五郎の蘭平は物狂い、立ち回りと動きがきっぱりと決まる。宜生の繁蔵がしっかりしている。翫雀、橋之助、福助が周囲を固める。
続いて「勧進帳」。吉右衛門の弁慶に、身を賭して義経(梅玉)を守ろうとする気概が出た。四天王(段四郎、染五郎、松緑、菊之助)を押しとどめるくだりなど圧倒的な大きさ。菊五郎の富樫が鋭く、梅玉に落ち行く者の悲しみがある。
最後が「三人吉三・大川端」。玉三郎のお嬢が倒錯的な美を見せる。染五郎のお坊、松緑の和尚。25日まで。【小玉祥子】
毎日新聞 2009年2月18日 東京夕刊