劇評

歌舞伎:十七代目勘三郎二十三回忌追善「二月大歌舞伎」(歌舞伎座
◇心情の変化の表現巧みな勘三郎
先代勘三郎の追善にふさわしく、古典から新作までが並んだ。
昼の最初が舞踊劇「爪王(つめおう)」(戸川幸夫作、平岩弓枝脚色)。勘太郎の狐(きつね)と七之助の鷹(たか)による舞踊仕立ての争いが、きびきびとして優美だ。
次が「俊寛」。勘三郎俊寛は、若き恋人同士の成経(勘太郎)と千鳥(七之助)への慈愛が感じられ、赦免船を見送る際の心情の変化の表現が巧みだ。勘太郎七之助をはじめ、梅玉の丹左衛門、左団次の瀬尾、扇雀の康頼と周囲もそろう。
「口上」に続き「ぢいさんばあさん」。仁左衛門の伊織と玉三郎のるんの夫婦が、息の合った演技を見せる。年老いてからの2人の再会が胸を打つ。勘三郎の下嶋が、人に好かれない男の悲しみを見せた。翫雀、孝太郎、橋之助が脇を固める。
  〜後略〜
毎日新聞 2010年2月10日 東京夕刊

写真は『俊寛』より俊寛勘三郎)。


本当に『俊寛』の幕切れの勘三郎丈の表情は素晴らしかったです。3階席だったので双眼鏡が手放せなかったのですが、拍手もしたい…というジレンマが(笑)。*1
けれどあの演目は1階より3階の方が観劇に向いている気がします。あの舞台装置全体を俯瞰で拝見した方が、1階で間近で観るより俊寛の気持ちが染みる気がするので。実際に1階で拝見したことは無いので、比べるような発言はどうかと自分でも思いますけど(苦笑)。

*1:6日観劇。